知事が温泉法八条一項による動力装置許可処分をするにあたり同法二〇条により聴取した温泉審議会の意見につき、持廻り決議の方法によつたかしがあつても、右処分は無効ではない。
知事の聴取した温泉審議会の意見が持廻り決議の方法によつた場合における知事の動力装置許可処分の効力
温泉法8条1項,温泉法20条,島根県温泉審議会条例(昭和25年島根県条例第31号)6条
判旨
温泉法に基づく許可処分における温泉審議会の意見聴取手続の欠如は、処分の内容を適正にするための手続であり利害関係人の利益保護を直接の目的とするものではないため、原則として処分の無効原因にはならない。
問題の所在(論点)
温泉法20条に基づく温泉審議会の意見聴取手続を欠いたままなされた許可処分の効力。当該手続的瑕疵が、処分の無効原因(重大かつ明白な瑕疵)に該当するか。
規範
行政処分に手続上の瑕疵がある場合において、当該瑕疵が処分の無効原因となるかは、当該手続を定めた規定の趣旨が、処分の内容を適正ならしめるためのものか、あるいは利害関係人の利益保護を直接の目的とするものか等に照らして判断すべきである。温泉法20条が温泉審議会の意見聴取を義務付けた趣旨は、知事の処分の内容を適正ならしめる点にあり、利害関係人の利益保護を直接の目的とするものではなく、また知事はその意見に拘束されない。したがって、同手続の瑕疵は、特段の事情のない限り、取消原因となり得ても無効原因にはならない。
重要事実
島根県知事が温泉法に基づき、動力装置の設置による温泉ゆう出量増加の許可処分(本件許可処分)を行った。しかし、当該処分にあたって温泉法20条所定の温泉審議会の意見聴取が行われず、持ち回り決議という不適法な方法でなされていた。既存の温泉業者である上告人は、本件許可処分により自らの元湯のゆう出量が減少したとして、手続上の瑕疵(審議会欠如)や実体上の瑕疵(公益侵害・裁量権逸脱)を理由に、処分の無効等を主張して争った。
事件番号: 平成12(行ツ)209 / 裁判年月日: 平成16年12月24日 / 結論: 破棄差戻
a町水道水源保護条例(平成6年a町条例第6号)が,町長の指定する水源保護地域内に,産業廃棄物処理業その他の所定の事業に係る事業場で水源の枯渇をもたらし,又はそのおそれがあるとの認定を町長から受けたものを設置することを禁止し,上記の認定については,上記地域内に上記事業に係る事業場を設置しようとする事業者と町長とがあらかじ…
あてはめ
温泉法19条、20条等の規定を検討すると、審議会の設置目的は知事の諮問に応じ調査審議することにあり、その意見は知事を拘束しない。本件における持ち回り決議による意見聴取は適法な手続とはいえないものの、上述の通り審議会は適正な行政運営を担保するための諮問機関にすぎず、特定の利害関係人の権利保護を直接意図した手続ではない。したがって、適法な意見聴取を経ていないという事実は、処分の法的安定性を著しく損なうほどの重大な瑕疵とはいえず、無効原因には当たらない。また、ゆう出量の減少という財産権への制約も、温泉源保護という公益的見地から公共の福祉による受忍限度の範囲内であり、裁量権の逸脱も認められない。
結論
本件許可処分における温泉審議会の意見聴取の瑕疵は、処分の取消原因となり得るにとどまり、処分の無効原因とはならない。
実務上の射程
手続的瑕疵が無効原因となるか否かの判断枠組みを示している。諮問機関の意見聴取手続の欠如については、当該機関の意見の拘束力や設置目的(適正な行政の確保か、利害関係人の保護か)を検討し、特段の事情がない限り無効とはしない実務の基準を確認する際に有用である。
事件番号: 昭和60(行ツ)197 / 裁判年月日: 平成元年3月7日 / 結論: 棄却
公衆浴場法二条二項及び大阪府公衆浴場法施行条例二条は、憲法二二条一項に違反しない。
事件番号: 昭和42(行ツ)84 / 裁判年月日: 昭和50年5月29日 / 結論: 棄却
一、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関し運輸審議会の公聴会が開催された場合には、陸運局長の聴聞手続の瑕疵は、免許の許否に関する運輸大臣の処分の適法性に影響を与えない。 二、諮問の経由を必要とする行政処分が諮問を経てされた場合においても、当該諮問機関の審理、決定(答申)の過程に重大な法規違反があることなどによりその決定…
事件番号: 昭和35(オ)1455 / 裁判年月日: 昭和36年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公衆浴場営業の不許可処分が、社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の限界を逸脱した違法なものであるか否かは、距離制限基準への適合性だけでなく、土地の状況や予想利用者数等を総合的に考慮して判断される。前回の申請から状況に変化がない場合に、同様の調査結果に基づき不許可とすることは、特段の事情がない限り裁量…