一、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関し運輸審議会の公聴会が開催された場合には、陸運局長の聴聞手続の瑕疵は、免許の許否に関する運輸大臣の処分の適法性に影響を与えない。 二、諮問の経由を必要とする行政処分が諮問を経てされた場合においても、当該諮問機関の審理、決定(答申)の過程に重大な法規違反があることなどによりその決定(答申)自体に法が右諮問機関に対する諮問を経ることを要求した趣旨に反すると認められるような瑕疵があるときは、右行政処分は、違法として取消を免れない。 三、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関する運輸審議会の公聴会における審理手続は、運輸審議会の客観性のある適正かつ公正な決定(答申)の保障のために公聴会審理を要求する法の趣旨に従い、申請者その他の利害関係人に対し決定(答申)の基礎となる諸事項に関する諸般の証拠その他の賃料と意見を十分に提出してこれを運輸審議会の決定(答申)に反映させることを実質的に可能ならしめるようなものでなければならない。 四、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関し諮問を受けた運輸審議会の公聴会における審理手続に申請計画の問題点につき申請者に主張・立証の機会を十分に与えなかつたという瑕疵がある場合においても、仮に運輸審議会がこのような機会を与えたとしても申請者において運輸審議会の認定判断を左右するに足りる資料及び意見を提出しうる可能性があつたとは認め難い判示のような事情があるときは、右瑕疵は、右諮問を経てされた運輸大臣の免許の拒否処分を違法として取り消す事由とはならない。
一、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関し運輸審議会の公聴会が開催された場合における陸運局長の聴聞手続の瑕疵と運輸大臣の処分の適法性 二、諮問を経て行政処分がされるべき場合における当該諮問機関の審理、決定、(答中)の過程の違法と右行政処分の適法性 三、一般乗合旅客自動車運送事業の免許両関する運輸審議会の公聴会における審理手続 四、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関し諮問を受けた運輸審議会の公聴会における審理手続の瑕疵が右諮問を経てされた運輸大臣の免許の拒否処分の取消事由にならないとされた事例
道路運送法4条,道路運送法122条の2,運輸省設置法6条1項7号,運輸省設置法16条,運輸審議会一般規則1条,運輸審議会一般規則第4章
判旨
行政処分に際し諮問機関の審理・答申を経るべき場合、その審理手続に法の趣旨に反する重大な違法があれば処分も違法となるが、本件では申請者の反論機会が不十分であっても、結論を左右する可能性がない限り重大な違法とはいえない。
問題の所在(論点)
諮問機関である運輸審議会の審理手続に瑕疵がある場合、それを経てなされた行政処分の効力にどのような影響を及ぼすか。また、本件のように申請者への反論機会の付与が不十分な場合、直ちに処分が違法となるか。
規範
行政庁が諮問機関の答申を尊重して処分すべき場合、諮問を経ない場合はもちろん、審理・答申の過程に重大な法規違反があり、諮問を要求した法の趣旨に反する瑕疵があるときは、当該処分も違法となる。公聴会等の審理手続は、単なる資料収集にとどまらず、利害関係人に対し証拠や意見を提出し、それを答申に反映させる実質的な機会を与えるものでなければならない。特に、免許基準の抽象性から申請者が問題点を認識しにくい場合には、行政側が注意を喚起し、反駁の機会を与えるなどの配慮が法の趣旨から要請される。
重要事実
上告人は、一般乗合旅客自動車運送事業の免許を申請したが、運輸大臣(当時)は運輸審議会の答申に基づき却下処分をした。審議会の公聴会において、利害関係人から上告人の計画の難点(既設機関との比較での不便さ等)が指摘され、委員からも質問がなされたが、上告人に対し追加資料の提出や具体的な反駁を促す特段の措置はとられなかった。上告人は、この審理手続の瑕疵を理由に処分の取消しを求めた。
あてはめ
本件公聴会では、委員の質問等から上告人も問題点をおおよそ推知できたものの、具体的難点を明らかにして反論を促す措置はなく、主張立証の機会を与える点で不十分な面があった。しかし、原審が認定した事実によれば、上告人の計画は既設機関に比して所要時間や運賃の面で著しく劣り、採算性維持のための修正後もその懸隔は大きい。したがって、仮に審議会がより具体的な指摘や資料提出を促したとしても、上告人が答申の結論を左右するほどの意見・資料を提出できた可能性は認めがたい。そうであれば、審理手続の不備は、公聴会を要求する法の趣旨に違背するほどの重大な違法とはいえない。
結論
本件の審理手続の不備は、処分の取消事由となるような重大な違法には当たらないため、本件却下処分は違法ではない。
実務上の射程
諮問手続の瑕疵が処分の違法性に連動する枠組みを示す重要判例である。答案上は、まず「諮問を経ることの法的意義」から重大な瑕疵が処分の違法を導く規範を立てる。その上で、手続的瑕疵が「結論に影響を及ぼす可能性(適正な手続が履践されていれば異なる結論になり得たか)」を検討し、違法の重大性を判断する際の考慮要素として活用すべきである。
事件番号: 昭和48(行ツ)26 / 裁判年月日: 昭和50年7月4日 / 結論: 棄却
特許出願の拒絶査定に対する審判請求の際納付すべき手数料が不足するとしてその補正を命ぜられた者は、その指定された期間内又は遅くとも審判請求書却下決定のあるまでにこれを補正することを要し、右却下決定のあつた後は、たとえその確定前に右不足手数料の納付があつても、有効な補正があつたということはできない。
事件番号: 昭和39(行ツ)20 / 裁判年月日: 昭和46年1月22日 / 結論: 棄却
知事が温泉法八条一項による動力装置許可処分をするにあたり同法二〇条により聴取した温泉審議会の意見につき、持廻り決議の方法によつたかしがあつても、右処分は無効ではない。
事件番号: 平成12(行ツ)209 / 裁判年月日: 平成16年12月24日 / 結論: 破棄差戻
a町水道水源保護条例(平成6年a町条例第6号)が,町長の指定する水源保護地域内に,産業廃棄物処理業その他の所定の事業に係る事業場で水源の枯渇をもたらし,又はそのおそれがあるとの認定を町長から受けたものを設置することを禁止し,上記の認定については,上記地域内に上記事業に係る事業場を設置しようとする事業者と町長とがあらかじ…