a町水道水源保護条例(平成6年a町条例第6号)が,町長の指定する水源保護地域内に,産業廃棄物処理業その他の所定の事業に係る事業場で水源の枯渇をもたらし,又はそのおそれがあるとの認定を町長から受けたものを設置することを禁止し,上記の認定については,上記地域内に上記事業に係る事業場を設置しようとする事業者と町長とがあらかじめ協議をし,町長が審議会の意見を聴くなどして上記の認定をするかどうかを慎重に判断することとしており,町長が,同条例に基づき,水源保護地域内に設置の予定されている地下水を使用する産業廃棄物処理施設が設置の禁止される事業場に当たると認定した場合において,当該施設を設置するにつき廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく設置許可の申請に係る手続が行われ,これに町が関係機関として加わったことを契機として,町の区域内に当該施設が設置されようとしていることを知った町が同条例を制定したものであること,上記手続を通じて当該施設の設置の必要性と水源の保護の必要性とを調和させるために町としてどのような措置を執るべきかを検討する機会が町長に与えられていたことなど判示の事情の下では,町長は,上記の認定をするに先立ち,上記の協議において,当該施設を設置しようとする事業者に対し,予定取水量を適正なものに改めるよう適切な指導をしてその地位を不当に害することのないよう配慮すべき義務を負い,上記の認定は,そのような義務に違反してされたものであれば,違法となる。
a町水道水源保護条例(平成6年a町条例第6号)の規定に基づき指定された水源保護地域内に設置予定の施設が設置の禁止される事業場に当たるとした町長の認定は当該施設の設置を予定する事業者の地位を不当に害することのないよう配慮する義務に違反してされた場合には違法となるとされた事例
紀伊長島町水道水源保護条例(平成6年紀伊長島町条例第6号)2条,紀伊長島町水道水源保護条例(平成6年紀伊長島町条例第6号)11条1項,紀伊長島町水道水源保護条例(平成6年紀伊長島町条例第6号)12条,紀伊長島町水道水源保護条例(平成6年紀伊長島町条例第6号)13条,紀伊長島町水道水源保護条例(平成6年紀伊長島町条例第6号)別表,憲法94条
判旨
水道水源保護条例に基づく規制対象事業場の認定処分において、行政庁が事業者との事前協議等の手続を尽くさず、事業者の地位に配慮しないままなされた処分は、手続上の義務に違反し違法となる。
問題の所在(論点)
行政庁が、条例に基づく事前協議手続において、事業者の立場を踏まえた十分な協議や指導・配慮を行うべき義務を負うか。また、その義務に違反した場合に処分が違法となるか。
規範
事件番号: 昭和39(行ツ)20 / 裁判年月日: 昭和46年1月22日 / 結論: 棄却
知事が温泉法八条一項による動力装置許可処分をするにあたり同法二〇条により聴取した温泉審議会の意見につき、持廻り決議の方法によつたかしがあつても、右処分は無効ではない。
行政処分が事業者の権利に重大な制限を課す場合、条例が定める事前協議手続は重要な地位を占める。行政庁は、処分の対象となる事業者が既に法令上の許可申請手続を進めていることを了知し、水源保護の目的と事業の必要性を調和させる検討機会がある場合、事業者と十分な協議を尽くし、適切な指導を行うなどして、事業者の地位を不当に害さないよう配慮すべき手続上の義務を負う。これに違反してなされた処分は違法である。
重要事実
上告人は、三重県a町において産業廃棄物中間処理施設の建設を計画し、三重県知事に対し設置許可申請の事前協議を行っていた。a町はこれを知った後、水道水源保護条例を制定し、建設予定地を含む区域を水源保護地域に指定した。上告人が条例に基づく協議書を提出した際、使用水量について回答したところ、町長は地下水取水による水源枯渇のおそれがあるとして、十分な協議や使用量制限等の指導を行うことなく、本件施設を規制対象事業場と認定する処分を行った。この認定により、上告人は県知事の許可を得ているにもかかわらず、施設の設置が禁止されることとなった。
あてはめ
本件条例の事前協議は、事業者の権利に重大な制限を課す認定処分の前置手続として重要である。被上告人(町長)は、上告人が条例制定前から設置許可手続を進めていたことを了知しており、手続を通じて水源保護と事業の調和を図る措置を検討できた。それにもかかわらず、地下水使用量の限定を促すなどの適切な指導や十分な協議を尽くすことなく、直ちに認定処分を行った。このような対応は、上告人の地位を不当に害さないよう配慮すべき義務に違反したものといえる。
結論
被上告人が配慮義務に違反して本件処分を行ったのであれば、当該処分は違法となるため、原審はこれを審理すべきであるとして、原判決を破棄し差し戻した。
実務上の射程
行政手続法上の一般的規範というよりは、特定の条例が定める事前協議手続の解釈として、処分に至る過程(プロセス)の正当性を重視した判例である。答案上は、裁量権の逸脱・濫用(手続的側面の瑕疵)や、信義則上の配慮義務違反の文脈で引用することが考えられる。
事件番号: 昭和58(行ツ)96 / 裁判年月日: 昭和61年6月10日 / 結論: 棄却
鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律五〇条は、公害等調整委員会に対して裁定を申請することができる処分については、その無効確認を含め一切の抗告訴訟の提起を禁止している趣旨と解すべきである。
事件番号: 昭和43(行ツ)114 / 裁判年月日: 昭和45年3月24日 / 結論: 棄却
労働基準法(昭和三一年六月法律第一二六号による改正後)八五条による災害補償に関する行政官庁の審査の結果は抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない。