一、公衆浴場営業許可の申請が競願関係にある場合には、行政庁は、先願者の申請が許可の要件をみたすものであるかぎり、これに許可を与えなければならない。 二、競願関係にある公衆浴場営業許可申請に関する先願後願の関係は、所定の申請書がこれを受け付ける権限を有する行政庁に提出された時を基準として定めるべきである。
一、公衆浴場営業許可申請と先願主義 二、競願関係にある公衆浴場営業許可申請につき先願後願を定める基準
公衆浴場法2条
判旨
公衆浴場営業許可は羈束処分であり、競願が生じた場合には申請の前後によって決すべきであるが、その先願性は行政庁による受理の前後ではなく、適式な申請書が権限ある行政庁に提出された時を基準に判断される。
問題の所在(論点)
公衆浴場営業許可のように競願が生じる羈束的許可処分において、先願権の有無を決定する基準時は、行政庁による「受理」の時点か、あるいは申請書の「提出」の時点か。
規範
公衆浴場法2条2項の許可は、所定の基準に適合する限り行政庁は許可を与えなければならない羈束処分である。したがって、競願関係が生じた場合、各申請が基準を満たすときは申請の前後により先願者に許可を与えなければならない。この先願・後願の基準は、行政庁の「受理」という行為の前後ではなく、適式な申請書が権限ある行政庁に「提出」された時を基準として定めるべきである。
重要事実
漁業協同組合(訴外組合)は昭和34年6月6日、図面の不備を指摘されつつも測量図面を添付して公衆浴場営業許可申請書を保健所に提出した。係員は補正を求めて図面のみを持ち帰らせたが、その他の書類は保管した。一方、上告人は同月8日に申請書を提出し、同日受理された。組合は同月11日に図面を再提出し受理手続がなされた。上告人は、自己の申請が先に受理された「先願」であると主張して、組合への許可処分等の取り消しを求めた。
事件番号: 昭和60(行ツ)197 / 裁判年月日: 平成元年3月7日 / 結論: 棄却
公衆浴場法二条二項及び大阪府公衆浴場法施行条例二条は、憲法二二条一項に違反しない。
あてはめ
組合が6月6日に提出した申請書は、その時点で受け付けるべき要件を具備しており、適正な申請であったと認められる。行政庁側の事務処理上の都合(図面の持ち帰り指示等)により受理手続が11日に遅れたとしても、適式な書類が提出された事実に変わりはない。したがって、6月8日に申請した上告人よりも、6月6日に書類を提出した組合が先願者にあたると評価される。
結論
先願性は申請書の提出時を基準に判断されるため、組合を先願者とした行政庁の判断は適法であり、上告人の請求は棄却される。
実務上の射程
行政手続法上の「受理」概念(同法7条)に関連し、行政庁の恣意的な受理拒否や遅延によって申請者の優先的地位が損なわれないよう、実質的な提出時を基準とする判断枠組みとして、許可の性質が羈束的である場合の競願処理において一般化できる。
事件番号: 昭和33(オ)710 / 裁判年月日: 昭和37年1月19日 / 結論: 破棄差戻
既存の公衆浴場営業者は、第三者に対する公衆浴場営業許可処分の無効確認を求める訴の利益を有しないとはいえない。
事件番号: 昭和43(行ツ)17 / 裁判年月日: 昭和47年10月12日 / 結論: 破棄差戻
清掃法一五条一項によるし尿浄化槽内汚物取扱業についての不許可処分が、その申請者において申請地域外の汚物をも取り扱つているため、他地域の汚物が申請地域の汚物処理場に持ち込まれるおそれがあり、また、申請地域の汚物の処理にはすでに許可を得ている業者だけで十分であるなど判示のような事情を考慮してされたものであるときは、それによ…
事件番号: 昭和44(行ツ)15 / 裁判年月日: 昭和49年4月25日 / 結論: 破棄自判
土地所有者が、鉱業法施行法七条一項の通知を受け、その後三〇日以内に追加鉱物を目的とする鉱業権の設定の出願をした場合であっても、右所有者が自作農創設特別措置法四一条による売渡によつて右土地の所有権を取得した者であり、その出願が鉱業法(昭和二五年法律第二八九号)施行後五年余も経過したのちにされたものである等、判示の事情(判…