町条例所定の定数をこえてなされた町吏員の任用が違法であるとしても、それが特定の町吏員の整理を目的としてことさら過員を生じさせるために行なわれたものでないと認めうる等原判示の事情(原判決理由参照)のもとにおいては、その任用の結果生じた過員を整理するための町吏員の待命処分は、違法でない。
違法な任用によつて生じた過員を整理するために行なわれた町吏員の待命処分が違法でないとされた事例。
地方自治法172条,地方公務員法17条,昭和29年法律192号地方公務員法の一部を改正する法律附則3項
判旨
条例定数を超える違法な任用がなされた場合であっても、それが特定の職員に臨時待命を命ずる目的で行われた等の特段の事情がない限り、当該任用の違法は待命処分の効力に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
条例定数や適正な選考手続に違反した先行の任用行為(昇任)の違法性が、それによって生じた過員を理由とする後行の待命処分の適法性に影響を及ぼすか(違法性の承継の成否)。
規範
条例定数遵守や試験・選考等の任用手続は任命権者の義務であるが、これに違反したとしても直ちに当然無効とはならない。また、任用と待命は目的及び効果を異にする別個の行為であり、前者の違法性が当然に後者に承継されることはない。ただし、特定の職員に臨時待命を行わせる目的で過員を生じさせるために任用を行った場合には、その濫用的な任用行為の違法が待命処分の効力を否定する根拠となり得る。
重要事実
町の職員数が、条例改正後の定数98名を1名超過する99名となったため、町長は職員である上告人に対し、臨時待命を命じた。この過員状態は、町が7名の職員を競争試験等によらず違法に昇任させたことによって生じたものであった。上告人は、過員状態を現出させた先行の任用行為が違法であるから、それに基づく待命処分も違法であると主張した。
事件番号: 昭和37(オ)1472 / 裁判年月日: 昭和39年5月27日 / 結論: その他
町長が町条例に基づき、過員整理の目的で行なつた町職員に対する待命処分は、五五歳以上の高齢者であることを一応の基準としたうえ、その該当者につきさらに勤務成績等を考慮してなされたものであるときは、憲法第一四条第一項および地方公務員法第一三条に違反しない。
あてはめ
本件における7名の昇任は、選考手続を欠き違法ではあるが、公務員法上の安定性の観点から当然無効とはいえない。また、これら他者の任用違反は、上告人との直接の関係で違法行為を構成するものではない。さらに、原審の認定によれば、当該昇任は上告人を臨時待命させる目的で行われたものではない。したがって、先行の任用行為と本件待命処分の間に密接な関連性や目的の同一性は認められず、先行行為の瑕疵を待命処分の適法性に反映させることはできない。
結論
先行する任用行為の違法は本件待命処分まで違法ならしめるものではなく、待命処分は適法である。
実務上の射程
行政行為の違法性の承継に関するリーディングケースの一つ。先行行為と後行行為が目的・効果を異にする別個の行為である場合、原則として違法性は承継されないが、先行行為が後行行為を強行する「手段」として悪用された場合には例外的に連動し得るという判断枠組みを示す際に有用である。
事件番号: 昭和37(オ)701 / 裁判年月日: 昭和38年11月26日 / 結論: その他
町の支所長が、町長の都合に基づく強引な勧告に応じて退職願を提出したが、即日撤回を決意し、翌日町長に宛てた退職願を取り消すとの書面を町役場に送付した場合は、その間、町長において辞令書を郵便に付し、また後任の事務取扱者を任命した事実があつても、当時の客観的情勢としては急速に後任者の発令をする必要が認められなかつたことをも勘…
事件番号: 昭和34(オ)396 / 裁判年月日: 昭和35年7月21日 / 結論: 棄却
一 町村合併による新町の発足により旧町村の正式職員であつた者が新たに新町の職員として任命されたような場合には、条件附任用に関する地方公務員法第二二条の適用はない。 二 地方公務員法第二八条第一項第一号、第三号に該当するかどうかの判断は、任命権者の純然たる自由裁量に任された事項ではなく、同条の趣旨にそう一定の客観的標準に…
事件番号: 昭和39(行ツ)64 / 裁判年月日: 昭和40年12月10日 / 結論: 棄却
公務員を分限免職にするかどうかは、行政庁の自由裁量に属する。