書証申出の目的で文書の原本を裁判所に郵送するだけでは、書証の提出とはいえない。
文書の郵送と書証の提出。
民訴法311条,民訴法258条2項,民訴法131条1項2号
判旨
自ら所持する書証の証拠調べを求める場合には、裁判所外での取調べを求める等の特段の事情がない限り、期日に出頭して提出すべきであり、郵送したのみで期日に出頭しない場合は証拠の提出があったとは認められない。
問題の所在(論点)
当事者が書証の原本を裁判所に郵送したものの、口頭弁論期日に一度も出頭しなかった場合、当該書証が適切に提出されたものとして証拠調べの対象となるか。口頭弁論期日における証拠提出の要否が問題となる。
規範
当事者が自ら所持する書証については、裁判所外における取調べを求める場合(民訴法265条参照)を除き、口頭弁論期日または準備手続期日にこれを提出して証拠調べの申出をすべきである(民訴法219条、旧311条参照)。
重要事実
上告人は、控訴状とともに「乙第2号証」と称する書面の原本を裁判所に郵送した。しかし、上告人はその後、原審の口頭弁論に終始出頭しなかった。
あてはめ
上告人は乙第2号証の原本を裁判所に郵送しているが、これは裁判所外での取調べを求める手続ではない。それにもかかわらず、上告人は原審の期日に一度も出頭していない。民事訴訟における証拠調べの申出は、原則として期日において口頭で行われるべきものである。本件では、書面が物理的に裁判所に到達していたとしても、期日における有効な提出行為が欠けているため、証拠の提出があったものとは取り扱えないと解される。
結論
原審が乙第2号証の提出があったものと取り扱わなかったのは相当である。
実務上の射程
弁論主義の下での証拠申出の厳格な手続的要件を確認した判例である。準備書面や書証を事前に郵送・提出していても、期日において「陳述」や「提出」の擬制がなされない限り、証拠として機能しない。特に控訴審等で出頭を怠る場合のリスクを示す事案として、民事訴訟法の基本原則(口頭主義・期日中心主義)の文脈で引用可能である。
事件番号: 昭和36(オ)232 / 裁判年月日: 昭和37年4月24日 / 結論: 棄却
請求原因の訂正補充は、準備書面に記載することなしに、相手方の在廷しない口頭弁論期日に主張しても差し支えない。