宅地建物取引業法の一部を改正する法律(昭和三二年法律第一三一号)附則第七項および第八項とが既存の宅地建物取引業者に対し新らたに営業保証金の供託義務を課していることは、憲法第二二条、第一三条に違反しない。
宅地建物取引業法の一部を改正する法律(昭和三二年法律第一三一号)附則第七項および第八項と憲法第二二条、第一三条。
宅地建物取引業法の一部を改正する法律(昭和32年法律131号)附則6項,宅地建物取引業法の一部を改正する法律(昭和32年法律131号)附則8項,宅地建物取引業法の一部を改正する法律(昭和32年法律131号)12条の2,宅地建物取引業法の一部を改正する法律(昭和32年法律131号)12条の5第1項,宅地建物取引業法20条2項2号,宅地建物取引業法20条2項3号,宅地建物取引業法20条2項5号,憲法22条,憲法13条
判旨
宅地建物取引業者に対し、取引関係者の損害防止を目的として営業保証金の供託義務を課すことは、公共の福祉を維持するための必要な規制措置として憲法22条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
宅地建物取引業者に対して営業保証金の供託義務を課し、不履行の場合に登録取消処分を可能とする法規制が、憲法22条1項の保障する営業の自由を侵害するか。
規範
憲法22条1項の営業の自由は絶対無制限ではなく、公共の福祉の要請により制限され得る。職業上の規制が、公共の福祉を維持するために必要な規制措置として是認されるか否かは、その規制の目的、必要性、及び具体的措置の内容を総合して判断する。
重要事実
宅地建物取引業法の一部改正により、既存の業者を含むすべての業者に対し、合計30万円を超えない限度で営業保証金の供託義務が課された。同法は既存業者に対し、2年以上の猶予期間内に供託を行うことを義務付け、これに違反した場合には登録を取り消すことができる旨を規定していた。上告人は、この供託義務が営業の自由を不当に制限し憲法に違反すると主張した。
あてはめ
まず、宅地建物取引業は国民の住居等に関する重要な取引を扱い、取扱金額も高額であるため、業務運営の不適正が社会に与える損害は甚大である。よって、取引関係者の不測の経済的損害を除去し信頼を高めるという規制目的は、公共の福祉に合致する。次に、規制の態様について、供託金額は30万円以内という限定された範囲であり、かつ既存業者に対しては約2年の相当な猶予期間が設けられている。これらを踏まえると、当該措置は業務運営の適正を期するための必要かつ合理的な規制措置といえる。
結論
本件供託義務の賦課は、公共の福祉を維持するための必要な規制措置として許容され、憲法22条1項、13条に違反しない。
実務上の射程
消極目的規制(警察目的規制)の合憲性判定において、その必要性と規制手段の相当性を肯定した事例。特に既存の権利主体への新たな義務賦課について、猶予期間の有無や金額の多寡を判断要素とする手法は、後続の「薬局距離制限事件」等の違憲審査基準の萌芽として、答案上のあてはめモデルに活用できる。
事件番号: 昭和29(オ)132 / 裁判年月日: 昭和34年7月15日 / 結論: その他
法人がその事業目的のために所有する唯一の土地を自作農創設特別措置法により買収することは、憲法第二二条に違反するものでない。
事件番号: 昭和36(オ)299 / 裁判年月日: 昭和36年10月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】供託官吏は、供託書が供託法2条所定の形式的要件を具備しているかを審査すれば足り、供託原因の存否等の実質的審査権限を有しない。また、供託書に住所の誤記等があっても、後日の訂正が可能である以上、供託受理行為の無効または取消原因とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、供託官吏が供託を受理した行為につ…
事件番号: 昭和37(あ)2317 / 裁判年月日: 昭和39年5月23日 / 結論: 棄却
弁護人の憲法第三九条違反を主張する点は、刑罰法規については憲法第三九条によつて事後法の制定は禁止されているけれども、民事法規については憲法は法律がその高価を遡及せしめることを禁止していないことは、当裁判所判例(昭和二三年(オ)第一三七号同二四年五月一八日大法廷判決、民集三巻六号一九九頁)とするところであつて、所論の宅地…