通勤定期券またはその購入代金の支給は、所得税法上の給与である。
通勤定期券またはその購入代金の支給は所得税法上の給与か
所得税法9条1項5号
判旨
通勤定期券またはその購入代金の支給は、勤労者が勤労者たる地位に基づいて使用者から受ける給付であり、所得税法上の給与所得を構成する。したがって、使用者は通勤費に相応する所得税の源泉徴収義務を負う。
問題の所在(論点)
労働契約に基づき支給される通勤定期券またはその購入代金が、所得税法上の「給与所得」に該当し、使用者に源泉徴収義務(所得税法38条)が生じるか。
規範
所得税法(旧法)に基づき、勤労者がその地位に基づいて使用者から受ける給付は、金銭であるか現物(定期券等)であるかを問わず、原則としてすべて給与所得を構成する収入と解される。当該支出が使用者側の損金に算入されるか否かは、受領者側の給与性を否定する根拠にはならない。
重要事実
上告人(会社)は、労働契約に基づき、労働者に対して通勤定期券またはその購入代金を支給していた。会社側は、当該通勤費は労働者の所得を構成する収入ではなく、単なる実費弁償的性格を有するものであるから、所得税法上の源泉徴収義務を負わないと主張して争った。
事件番号: 平成16(行ヒ)141 / 裁判年月日: 平成17年1月25日 / 結論: 棄却
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あてはめ
まず、通勤費の支給は勤労者たる地位に基づき使用者から受ける給付である。次に、仮に通勤費の支給がなければ勤労者自身が負担すべき費用を免れるものであるから、実質的な経済的利益の享受が認められる。また、会社側の計算上損金となることは、勤労者の所得性を否定する理由にはならない。したがって、支給のない勤労者との公平性の観点からも、通勤費を給与として所得計算に含めることは正当である。
結論
通勤定期券等の支給は給与所得に該当するため、上告会社は当該通勤費に相応する所得税の源泉徴収義務を負う。
実務上の射程
給与所得の広範な包括性を確認した判例であり、「地位に基づき受ける給付」が原則として課税対象となることを示す。現在の実務では所得税法施行令20条の2により一定限度額まで非課税とされるが、法理としては本判決の包括的所得概念が維持されている。
事件番号: 昭和36(オ)1254 / 裁判年月日: 昭和37年10月2日 / 結論: 棄却
匿名組合契約の形式をとり、多くの人から資金を集めた場合にも、出資者が事業に参加する意思等も全くない場合は、右契約を、「匿名組合契約及びこれに準ずる契約」にあたらない。
事件番号: 昭和35(オ)4 / 裁判年月日: 昭和36年10月27日 / 結論: 棄却
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事件番号: 平成17(行ヒ)96 / 裁判年月日: 平成18年11月16日 / 結論: その他
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