一 国税徴収法(昭和34年法律第一四七号による改正前)第二三条ノ一による国の代金とは国税滞納処分の債権差押により国が被差押債権の取立権を取得し債権者の権利を行使しうるに至る法律関係をいう。 二 同法条に基づき被差押債権者に代位する国は、被差押債権に基づく債権者債務者間の訴訟に対し民訴第七一条による当事者参加ができる。
一 国税徴収法(昭和三四年法律第一四七号による改正前)第二三条ノ一にいう代位の意義 二 同法条に基づき被差押債権者に代位する国は被差押債権者債務者間の訴訟に対し民訴第七一条に基づく当事者参加ができるか
国税徴収法(昭和34年法律147号による改正前)23条ノ1,民訴法71条,民訴法62条
判旨
国税滞納処分による債権差押えに基づき、国が被差押債権者の権利を行使する目的で当事者参加(民訴法旧71条、現47条)をした場合、共同訴訟的補助参加の規定(同旧62条、現46条)が準用される。これにより、参加人による控訴の効力は、控訴期間を徒過した被参加人(原告)にも及び、被参加人の請求部分についても移審の効力が生じる。
問題の所在(論点)
国税滞納処分による債権差押えに基づき国が当事者参加した場合、民事訴訟法47条(旧71条)の「自己の権利」を主張する独立当事者参加に該当し、同法46条(旧62条)等の規定が準用されるか。また、参加人による控訴が被参加人(原告)との関係で移審の効力を生じさせるか。
規範
権利主張型の独立当事者参加(民事訴訟法47条前段)において、参加人が主張する権利が被参加人の権利と両立せず、かつ訴訟の結果について参加人と被参加人の間で合一確定の必要がある場合には、共同訴訟に関する規定(同法40条1項ないし3項)が準用される(同法47条4項、46条)。この場合、参加人一人がした控訴等の訴訟行為は、他の当事者全員のために効力を生じる。
重要事実
原告(被上告会社)が被告(上告組合)に対して債権の支払を求めて提訴したが、第一審で敗訴した。国は、原告の被告に対する債権を国税滞納処分に基づき差し押さえ、取立権を取得したとして、原告・被告間の訴訟に当事者参加(民訴法旧71条)した。第一審判決後、原告は控訴期間を徒過したが、参加人である国が控訴を申し立てた。被告側は、国は取立権を有するにすぎず「自己の権利」を主張する者(権利主張型参加)に当たらないため、共同訴訟に関する規定は準用されず、原告についての請求棄却判決は既に確定していると主張して、移審の効力を争った。
あてはめ
最高裁は、国税徴収法の規定に基づく滞納処分の債権差押えによって国が被差押債権者に代位する法律関係は、差押え後に国が被差押債権の取立権を取得し、被差押債権者の権利を行使しうる関係であると解示した。このような地位に基づく参加は、訴訟の目的が自己の権利であることを主張する当事者参加に該当する。したがって、参加人と被参加人の請求の合一確定が必要な関係にある以上、共同訴訟に関する規定が準用されるため、参加人がなした控訴は被参加人に対してもその効力を生じ、被参加人の請求についても審判対象に含まれることになる。
結論
国税滞納処分に基づく取立権者は、権利主張型の独立当事者参加をすることができ、参加人がなした控訴の効力は、控訴期間を徒過した被参加人(被差押債権者)にも及ぶ。
実務上の射程
債権差押通知による取立権の取得を「自己の権利」の主張として構成し、独立当事者参加の適格を認めた点に射程がある。実務上、独立当事者参加における合一確定の要請から、一人の控訴が全員に及ぶという「上訴不可分の原則」を適用する際の基礎となる判例である。答案上は、参加人が取立権者や代位債権者である場合でも、訴訟の目的が実質的に共通・排斥関係にあるならば、合一確定の必要性を認めて共同訴訟の規定を準用する論拠として用いる。
事件番号: 昭和41(オ)288 / 裁判年月日: 昭和43年4月12日 / 結論: 破棄差戻
一、民訴法第七一条の参加に基づく、参加人、原告、被告間の訴訟について本案判決をするときは、右三当事者を判決の名宛人とする一個の終局判決のみが許され、右当事者の一部に関する判決をすることも、また、残余のものに関する追加判決をすることも、許されない。 二、右に違背してされた一部判決の違法は職権調査事項にあたる。