債権者が受益者を相手どつて詐害行為取消の訴を提起しても、債権につき消滅時効中断の効力を生じない。
詐害行為取消の訴と債権の消滅時効の中断。
民法424条,民法147条
判旨
卸売商人間の売掛代金債権にも短期消滅時効が適用されること、および債権者が提起した詐害行為取消訴訟は債務者に対する時効中断の効力を生じないことを判示しました。
問題の所在(論点)
1. 卸売商人間の売掛代金債権に短期消滅時効(旧民法173条1号)が適用されるか。2. 受益者を被告とする詐害行為取消訴訟の提起が、債務者に対する被担保債権の時効中断事由(裁判上の請求)となるか。
規範
1. 卸売商人が転売目的の者に対して売却した商品の代金債権についても、民法173条1号(当時)の2年の短期消滅時効が適用される。2. 債権者が受益者を被告として提起した詐害行為取消訴訟は、訴訟内で被担保債権の存在を主張するにとどまり、債務者に対する直接の「裁判上の請求」には当たらないため、時効中断の効力を生じない。
重要事実
卸売商人である上告人らが、同じく卸売商人である被上告人B1に対し売掛代金債権を有していた。上告人らは、B1のB2に対する不動産譲渡を詐害行為として、B2を被告とする取消訴訟を提起したが、その訴訟係属中にB1に対する売掛代金債権の時効期間が経過した。上告人らは、詐害行為取消訴訟の提起によってB1に対する債権の時効が中断されたと主張した。
あてはめ
1. 旧民法173条1号は消費者向け販売に限定されず、卸売商人間でも適用されるため、本件債権は2年の短期消滅時効に罹る。2. 詐害行為取消訴訟は受益者(B2)を被告とするものであり、その中で被担保債権を主張しても、それは取消権行使の先決問題としての主張にすぎない。債務者(B1)に対して直接給付や確認を求める裁判上の請求ではないため、B1が訴訟の当事者でない以上、時効中断の効果を認めることはできない。
結論
本件売掛代金債権は時効により消滅しており、被担保債権が消滅した以上、上告人らの詐害行為取消請求は認められない。
実務上の射程
改正前民法の短期消滅時効に関する判断だが、詐害行為取消訴訟と時効中断の関係については現行法下でも重要。債務者を被告に含めない取消訴訟では、別途債務者への請求等を行わない限り被担保債権の時効が進行し続けるという実務上の留意点を示す。
事件番号: 昭和31(オ)848 / 裁判年月日: 昭和33年7月10日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】動産先取特権を有する債権者が債務者から当該動産を売戻しにより取得する行為は、優先弁済権の存在を理由に直ちに詐害行為性が否定されるものではなく、また価額賠償の算定にあたっては、受益者の実際の処分価格を漫然と基準にすべきではない。 第1 事案の概要:債務者D商事は、被上告人に対し、売掛代金債務の弁済に…