投票管理者が投票立会人の意見を聞かないで代理投票補助者を選任した違法があるというだけでは、右補助者による代理投票は無効とはならない。
投票管理者が投票立会人の意見を聞かないで代理投票補助者を選任した違法と右代理投票の効力。
公職選挙法48条
判旨
投票管理者が代理投票の補助者を選任する際、投票立会人の意見を聴取しなかったことは管理規定に違反するが、その違反のみをもって直ちに当該投票がすべて無効となるわけではない。
問題の所在(論点)
公職選挙法48条2項に反し、投票立会人の意見を聴かずに選任された補助者が関与した代理投票の効力(有効性)。
規範
公職選挙法48条2項が代理投票の補助者選任につき投票立会人の意見を聴くべきとしたのは、代理投票の自由公正を担保する趣旨である。しかし、投票管理者は投票立会人の意見に拘束されるものではなく、その意見を参考として斟酌すれば足りる。管理規定に違反する手続があったとしても、選挙の自由公正を害すると認められる特段の事情がない限り、直ちに全ての投票が無効とされるものではない。
重要事実
ある選挙において、候補者の長男が投票管理者を務めていた。この投票管理者は、公職選挙法48条2項の規定に反し、投票立会人の意見を聞くことなく自己の一存で代理投票の補助者を選任した。この手続きを経て行われた17票の効力が争点となったが、原審は事実関係に基づき、そのうち6票のみを無効と判断した。
あてはめ
本件では、候補者の長男が投票管理者である状況下で、立会人の意見を聴かずに補助者を選任した点は管理規定に違反する。しかし、立会人の意見は助言的性格に留まり、管理者を拘束するものではない。原審が確定した事実関係(詳細は判決文からは不明だが、個別の投票における不正の蓋然性等)に基づけば、規定違反があったからといって対象となる17票全てを当然に無効とすべきではなく、個別の事情に応じて6票のみを無効とした判断は正当である。
結論
投票立会人の意見聴取を欠いた補助者の選任は規定違反であるが、原審が認定した事情の下では、当該代理投票のすべてが無効になるものではない。
実務上の射程
選挙無効や投票無効の訴えにおいて、手続上の瑕疵が投票の効力に及ぼす影響を判断する際の指標となる。手続規定が「自由公正の担保」を目的とするものであっても、その違反が直ちに投票結果を無効にするのではなく、違反の程度や具体的な不公正の結果を個別具体的に検討すべきことを示唆している。
事件番号: 昭和35(オ)463 / 裁判年月日: 昭和35年9月1日 / 結論: 棄却
投票管理者または投票立会人が代理投票補助者になつたため、その間投票管理者の職務執行者を欠きまたは立会人数が法定数を欠くに至つた違法があつても、投票管理者および立会人の職務執行上特に支障を来す事情が見受けられない場合には、その選挙を無効とすべきではない。