一 一棟二戸建の建物を同一の賃借人が一戸づつ各別の契約で賃借した場合において、二戸の合計面積が三〇坪をこえても各戸の面積がいずれも三〇坪以下であるときは、地代家賃統制令第二三条第二項第三号にいう建物を賃借した場合にあたらない。 二 地代家賃統制令にいわゆる「店舗」ないし「倉庫」であるか否かは、建物の外形や構造によつて機械的に決定すべきものではなく、恒常的に店舗ないし倉庫として使用されているかどうかによつて決定さるべきである。
一 一棟二戸建の建者を各一戸づつ各別に賃借した場合と地代家賃統制令第二三条第二項第三号の適用の有無 二 地代家賃統制令にいわゆる「店舗」ないし「倉庫」であるかどうかを決定する基準
地代家賃統制令23条
判旨
一棟の建物の各部分を別個の時期に賃借した場合、後に家賃通帳がまとめられ賃料が一括して定められても、特段の事情がない限り賃貸借契約の更改は認められず、各契約は別個のものとして存続する。
問題の所在(論点)
時期を異にして締結された建物の各部分に関する複数の賃貸借契約について、後の事情により家賃の支払態様が統合された場合に、それらが一個の賃貸借契約へと更改されたと認められるか。
規範
契約の更改(民法513条等)が認められるためには、当事者間に従来の債務を消滅させ、新たな債務を成立させる合意が必要である。単に利便性のために支払方法や帳簿上の管理を統合したに過ぎない場合は、既存の複数の賃貸借契約が一個の契約に統合(更改)されたとは認められない。
重要事実
上告人所有の一棟二戸建の建物について、被上告人は昭和4年に南側を、昭和20年に北側を、それぞれ別個の時期に賃借した。当該建物は家屋台帳上は一個の建物として記載されており、後に家賃通帳が一つにまとめられ、家賃も二戸一括して定められるようになった。上告人は、これにより契約が一個の賃貸借に更改されたと主張し、当時の地代家賃統制令の適用外となることを意図した。
あてはめ
本件建物は柱と壁で区切られた二戸であり、当初は別個の契約として締結されている。家賃通帳を一通にまとめ、家賃を二戸一括して定めた事実は認められるが、これはあくまで「集金の便宜のための措置」に過ぎない。したがって、従前の二個の賃貸借契約を消滅させて一個の契約を成立させるという当事者の合意(更改の意思)があったとは認められず、各契約は依然として別個のものとして存続すると解するのが相当である。
結論
二個の賃貸借契約が一個の賃貸借に更改されたとは認められず、各契約は別個のものとして依然として地代家賃統制令の適用を受ける。
実務上の射程
契約の個数や更改の成否が問題となる場面で、外形的な管理態様の変化のみでは更改を認めない判断枠組みとして活用できる。特に、複数の賃借部分を順次借り増しした実務上の事案において、それらが一つの契約に包括されたか否かを論じる際の基準となる。
事件番号: 昭和32(オ)480 / 裁判年月日: 昭和34年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃料増額請求における相当賃料の算定において、諸般の事情が対象物件と著しく異ならない近傍同種の物件の賃料上昇率を算定の一資料として用いることは適法である。 第1 事案の概要:上告人は、昭和13年から木造瓦葺2階建(建坪延59坪2合、敷地116坪超)の家屋を月額105円で賃借していた。被上告人は賃料増…