一 市議会議員選挙の当選の効力に関する訴願裁決の取消を求める訴について市選挙管理委員会は被告たる適格を有しない。 二 市議会議員選挙の当選の効力に関する異議決定、訴願裁決がともに当初の当選人決定を維持した場合においては、右当選の効力に関する訴について市選挙管理委員会は被告たる適格を有する。 三 公職選挙法第二五二条による選挙権、被選挙権停止の効力は、略式命令に対する正式裁判の請求を取り下げたときは、右取下の時から生ずる。
一 市議会議員選挙の当選の効力に関する訴願裁決の取消を求める訴についての市選挙管理委員会の被告適格 二 市議会議員選挙の当選の効力に関する異議決定、訴願裁決がともに当初の当選人決定を維持した場合における右当選の効力に関する訴についての市選挙管理委員会の被告適格 三 略式命令に対する正式裁判請求を取り下げた場合における公職選挙法第二五二条によつて選挙権、被選挙権停止の効力を生ずる時期
公職選挙法207条,公職選挙法252条
判旨
地方議員の当選の効力に関する訴訟において、異議決定及び訴願裁決が当初の当選人決定を維持した場合には、当選人決定を行った市町村の選挙管理委員会を被告とすることができる。また、罰金刑の確定により失職した議員が、翌日の復権令施行により資格を回復しても、一度失った議員の職を当然に回復するものではない。
問題の所在(論点)
1. 地方議会議員の当選の効力に関する訴訟において、市町村の選挙管理委員会に被告適格が認められるか。2. 議員が罰金刑確定により失職した後、翌日の復権令施行により被選挙権を回復した場合、議員の職を当然に回復するか。
規範
1. 公職選挙法207条に基づく地方議会議員の当選の効力に関する訴訟において、異議決定及び訴願裁決が当初の当選人決定を維持した場合には、不服の原因は当初の当選人決定にあるといえるため、当該決定を行い告示をした市町村の選挙管理委員会を被告とすることができる。2. 地方自治法127条により、公職選挙法252条(被選挙権の停止等)に該当することとなった議員は、刑事判決の確定により当然にその職を失う。その後、復権令により被選挙権を回復しても、その効力は将来に向かって発生するものであり、既定の失職の効果を覆すものではない。
重要事実
上告人はG市議会議員であったが、公職選挙法違反により罰金刑の略式命令を受け、正式裁判の請求を昭和34年4月10日に取り下げたことで刑が確定した。同日、復権令が公布・施行されたが、その2条により資格回復は翌4月11日からとされていた。被上告人(市選挙管理委員会)は、上告人が失職したとして、Hを繰上補充当選人と決定した。上告人は、市選管に対し当選決定の取消等を求めて提訴した。
あてはめ
1. 本件では訴願裁決等が当初の当選人決定を維持している。この場合、不服の根拠は当初の決定に帰着するため、市選管を被告とすることを違法とする理由はない。2. 上告人は4月10日の正式裁判請求取下げにより刑が確定し、公職選挙法252条により被選挙権を失った。地方自治法127条に基づき、この時点で議員の職を当然に失う。復権令2条の規定によれば、上告人が資格を回復するのは翌4月11日である。失職は10日に既に発生しており、翌日の資格回復によって一度失った議員の地位が復活する法的根拠はない。
結論
1. 市選挙管理委員会の被告適格を否定した原審の判断は誤りであるが、2. 上告人の請求自体は理由がないため、上告を棄却する。
実務上の射程
当選訴訟における被告適格の範囲(処分庁としての市選管)を画定する際の基準となる。また、失職と復権の時点的関係について、失職が判決確定により当然に生じること、及び復権に遡及効がないことを論証する際に有用である。
事件番号: 昭和28(オ)650 / 裁判年月日: 昭和28年12月4日 / 結論: 棄却
大赦により有罪の判決言渡が効力を失つても、公職選挙法第二五二条により、大赦前被選挙権を有しなかつたことは、恩赦法第一一条にいわゆる既成の効果である。
事件番号: 昭和31(オ)325 / 裁判年月日: 昭和31年10月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】普通地方公共団体の選挙管理委員会委員長は、地方自治法に基づき、その権限に属する事務の一部として、委員会の書記等の吏員に対し訴訟代理権限を委任し(いわゆる指定代理人の選任)、訴訟行為を行わせることができる。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人である選挙管理委員会との訴訟において、原審で委員会の指定…
事件番号: 昭和35(オ)493 / 裁判年月日: 昭和35年9月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法上の投票の効力判定において、候補者の氏名を正確に記載していない投票であっても、その記載内容から特定の候補者を指すと客観的に認められる場合には、当該候補者に対する有効投票として認められる。 第1 事案の概要:村議会議員選挙において、被上告人(候補者)に対するものと考えられる投票の中に、「D…
事件番号: 昭和44(行ツ)43 / 裁判年月日: 昭和44年8月29日 / 結論: 棄却
出納責任者の選挙犯罪により、当選人について連座による当選無効の訴訟が提起された場合において、右出納責任者について復権があつても、そのことは、右訴訟の結果に影響を及ぼすものではない。