補充選挙人名簿登録申請期間経過後の申請を受理して登録をした違法があつても、当該補充選挙人名簿が無効であるとはいえない。
補充選挙人名簿登録申請期間経過後の登録申請を受理して登録した違法と補充選挙人名簿の効力。
公職選挙法26条,公職選挙法27条
判旨
補充選挙人名簿の調製において、申請期間経過後の申請を受理し登録した者が含まれていたとしても、それは個々の登録の違法にすぎず、名簿自体を当然に無効とするものではない。
問題の所在(論点)
公職選挙法に基づく補充選挙人名簿の調製において、法定の申請期間を徒過した登録申請を受理・登録したという違法がある場合、当該選挙人名簿は無効となり、それを用いた選挙も無効となるか。
規範
選挙人名簿に登録すべきでない者を登録したという違法は、個々の登録に関する違法であり、公職選挙法(23条、24条、29条等)に定める異議の申出や訴願等の手続によって是正されるべきものである。したがって、一部の登録手続に瑕疵があるからといって、直ちに選挙人名簿全体が無効になるわけではない。
重要事実
上告人らは市議会議員選挙の無効を訴えた。その理由として、第一および第二補充選挙人名簿の調製に際し、市選挙管理委員会の会議録に議決の記載がなく書記が勝手に作成した点、および第三補充選挙人名簿において申請期間経過後の申請者16名を不当に登録した点に違法があり、名簿自体が無効であると主張した。原審は、会議録の欠如については、名簿調製が委員会の法的義務であり委員長による署名押印等の形式が整っていることから有効とし、期間後申請の登録についても名簿全体の無効事由にはあたらないと判断した。
事件番号: 昭和35(オ)677 / 裁判年月日: 昭和35年9月22日 / 結論: 棄却
代理投票が投票管理者に対する適法な申請なくして行なわれた違法があつても、補助者一名が選挙人に代つて投票用紙に候補者の氏名を記載し他の補助者がこれに立ち会い、選挙人の指示する候補者の氏名を記載したものと認められる以上、右違法によつて選挙を無効とすべきではない。
あてはめ
まず、第一・第二名簿については、市選管が作成に関する必要事項を議決し、所定の方式に従い作成・押印されている以上、会議録に議事の記載がないことのみをもって無効とはいえない。次に、第三名簿における期間徒過後の登録について検討するに、登録すべきでない16名を登録した事実は認められる。しかし、これは各個人に対する登録の是非という個別的な違法にとどまる。公職選挙法は、名簿の正確性を担保するため異議申出等の是正手続を別途用意しており、名簿の調製過程に一部不備があっても、直ちに名簿の存在自体を否定し選挙全体を無効とするほどの重大な違法とは評価できない。
結論
本件名簿を無効とすべき理由はない。したがって、これを用いた選挙に管理執行上の規定違反があるとはいえず、選挙は有効である。
実務上の射程
選挙無効訴訟において、選挙人名簿の調整プロセスの瑕疵を主張する場合の限界を示す。名簿の作成手続に形式的な不備(会議録の不備)や実体的な不備(資格のない者の登録)があっても、法が定める個別の是正手段によらずに名簿全体の無効を主張することは困難である。答案上は、選挙の規定違反(205条1項)を論じる際、名簿の効力が争点となった場合の否定例として活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)332 / 裁判年月日: 昭和31年10月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】投票管理者が投票立会人を伴わず自ら投票箱等を送致しなかった等の公職選挙法55条違反があっても、不正行為の介在し得る余地がなく、選挙の結果に異動を及ぼす虞がないと認められる場合には、当該選挙を無効とはできない。 第1 事案の概要:本件選挙において、複数の投票区の投票管理者が、自ら投票立会人を伴って投…
事件番号: 昭和33(オ)277 / 裁判年月日: 昭和33年6月10日 / 結論: 棄却
住民登録は住民の居住関係を公証する効力を持つけれども、反対の証拠によつて登録と異なる事実を認めることがゆるされないものではない
事件番号: 昭和33(オ)62 / 裁判年月日: 昭和33年5月6日 / 結論: 棄却
一 投票所の設けられた公民館が三一坪の建物で、内部は玄関に続く廊下を隔てて集会場と会議所兼事務室に分れており、右集会場内に投票に関する設備が設けられ、そのなかで投票に関する手続が行われ、右会議所兼事務室では投票手続に関する何等の事務も処理されず、廊下は集会場への通路として使用されたに止まる場合、廊下と集会場との境をなす…