住民登録は住民の居住関係を公証する効力を持つけれども、反対の証拠によつて登録と異なる事実を認めることがゆるされないものではない
住民登録の効力
住民登録法1条
判旨
住民登録は居住関係を公証する効力を有するが、反証によりこれと異なる事実を認めることが可能であり、境界確定判決がない場合でも、選挙管理委員会は独自の事実認定に基づき選挙権の有無を判断できる。
問題の所在(論点)
住民登録や長年の行政事務の実績がある場合、境界確定判決を待たずに、選挙管理委員会が当該地域を市域外と認定して選挙権を否定できるか。また、住民登録の公証力は反証によって覆されるか。
規範
1. 住民登録は、住民の居住関係を公証する効力を持つものの、反証によって登録と異なる事実を認定することを妨げるものではない。 2. 選挙管理委員会は、選挙権の有無を判断する前提として市町村の境界を判断する必要がある場合、境界確定訴訟の確定判決がない限り、他の行政事務における区域の認定に拘束されず、独自に事実を認定することができる。
重要事実
大阪府大東市の市長選挙等において、係争地域に居住する153名(以下「本件住民」)が、同市選挙管理委員会によって投票を拒否された。本件住民は、大東市合併前の旧町時代から同町住民として基本選挙人名簿に登録され、住民登録、戸籍、徴税等の行政事務も継続して行われていた。しかし、原審は証拠に基づき、当該係争地域が大東市の区域に属しないとの事実を認定した。これに対し、本件住民側は、住民登録等の行政実績や境界確定判決の不在を理由に、大東市民としての地位を主張して上告した。
あてはめ
まず、住民登録の効力について、本判決は公証力は認めつつも、反証による事実認定の余地を認めた。本件では、原審が証拠により係争地域を大東市外と認定した以上、住民登録と異なる事実認定に違法はない。次に、行政事務の一貫性について、選管は選挙権の存否を判断する独自の権限を有し、境界確定判決がない状況下では、市長による過去の行政処分(登録や徴税等)に必ずしも拘束されない。したがって、過去に住民として扱われていた事実は、当該地域が同市に属すると推認させる決定的な根拠にはならないと判断した。
結論
本件住民の居住地は大東市の区域に属さないため、彼らは同市の住民ではなく、投票を認めなかった選管の処置は適法である。
実務上の射程
行政実務上の登録事実と客観的な境界・住民資格が乖離する場合、後者が優先されることを示した。答案上は、住民基本台帳法に基づく登録の公証力の限界や、行政処分における「事実認定の独立性」が問われる場面で活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)63 / 裁判年月日: 昭和33年4月8日 / 結論: 棄却
「A兼光」と記載された投票は、候補者A左文太に対する有効投票と解することはできない。
事件番号: 昭和33(オ)1052 / 裁判年月日: 昭和34年4月28日 / 結論: 破棄自判
選挙人名簿対照係席が投票立会人席から見透すことができない投票所の施設は、公職選挙法施行令第三五第一項の趣旨に反するけれども、右対照係が行つた選挙人確認手続に違法の点がないときは、右投票所で行われた選挙を無効とすべきではない。
事件番号: 昭和33(オ)737 / 裁判年月日: 昭和33年10月17日 / 結論: 棄却
補充選挙人名簿登録申請期間経過後の申請を受理して登録をした違法があつても、当該補充選挙人名簿が無効であるとはいえない。
事件番号: 昭和33(オ)577 / 裁判年月日: 昭和33年12月18日 / 結論: 棄却
公職選挙法第二〇九条の二は土地改良区総代選挙に準用がない。