一 旧行政裁判所の判決は、その言渡と同時に確定力を生じ、新憲法の下においても、当事者はもとより裁判所も、同判決によつて確定された権利関係に反する主張、判断をなし得ないものと解すべきである。 二 刑の言渡に基づき退隠料受給資格を喪失した者は、復権令によりその資格を回復することがない。
一 旧行政裁判所判定の新憲法下における効力 二 刑の言渡に基づく退隠料受給資格の喪失と復権の効力
旧行政裁判所法19条,裁判所法施行法2条2項,民訴応急措置法附則3項,京都市有給吏員退隠料、退職給与金、死亡給与金及遺族扶助料条例11条3号,復権令(昭和27年政令119号)2条,恩赦法11条
判旨
行政裁判所の判決は、新憲法施行後も特別の立法がない限り確定力を有し、当事者や裁判所はその判決により確定された権利関係に反する主張・判断をなし得ない。また、有罪判決により退隠料受給資格を喪失した効果は復権令によっても回復しない。
問題の所在(論点)
旧憲法下の行政裁判所による判決の確定力が、新憲法下の裁判所を拘束するか。また、収賄罪による退隠料受給資格の喪失という既成の効果が、後の復権令によって回復するか。
規範
行政裁判所は旧憲法下における最高審の裁判所であり、その判決は宣告と同時に確定力を生じる。新憲法施行後においても、特別の立法がない限り、当事者はもとより裁判所も、右判決によって確定された権利関係に反する主張や判断をなし得ない。また、恩赦法11条にいう「復権」の効力は将来に向かってのみ生じ、有罪の言渡しに基づく既成の効果を変更するものではない。
重要事実
京都市書記であった上告人は、在職中の収賄罪により懲役5月の判決を受け、退職後に退隠料を請求した。しかし、京都市長は条例に基づき受給資格喪失を理由に却下処分を下した。上告人は不服を申し立てたが、昭和12年に行政裁判所の判決によって右処分が支持・確定された。その後、上告人は新憲法施行後の訴訟において、右判決の無視、および復権令(昭和27年政令119号)に基づく受給資格の回復を主張した。
あてはめ
本件では、上告人が退隠料受給資格を有しないことが行政裁判所の確定判決によって既に確定している。新憲法施行後もこの確定力は失われないため、上告人は受給資格がないものと扱わなければならない。また、上告人は復権令による資格回復を主張するが、刑の言渡しに基づき条例に従って退隠料受給資格を喪失したことは、恩赦法11条にいう「既成の効果」に該当する。復権は将来に向かってのみ効力を有し、過去に生じた喪失の効果を遡及的に覆すものではないため、資格は回復しない。
結論
行政裁判所の判決によって確定した権利関係は当事者・裁判所を拘束し、かつ復権令によっても過去に喪失した退隠料受給資格は回復しない。したがって、上告人の請求を排斥した原審の結論は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
旧憲法下の確定判決の効力維持を確認した判例である。答案上は、確定判決の効力(既判力・確定力)の持続性や、恩赦・復権が既成の法的効果(資格喪失等)に及ぼさないとする将来効の原則を論じる際の論拠として使用できる。
事件番号: 昭和36(オ)873 / 裁判年月日: 昭和37年11月16日 / 結論: 棄却
一 条例で特別職に対する退職金の給付は、その都度議会の決議で定めることにしてあつても、右退職金の給与は公法上の給与であつて、民法上の贈与ではない。 二 退職金の給与を議会の議決で定めた後、右の給与について予算上の措置が講じられていなかつたからといつて、さきの議決を取り消すことはゆるされない。
事件番号: 昭和35(オ)694 / 裁判年月日: 昭和37年7月13日 / 結論: 破棄自判
一 小学校教諭が三月二五日に学校長に退職願を提出したが、同日夜撤回を決意し、翌二六日学校長に対し撤回方の尽力を依頼し、翌二七日市教育委員会学校教育課長に撤回を申し入れ、さらに、翌二八日に県教育委員会委員長に対し、退職願取消の申入と題する自己名義の文書に押印し発送した場合は、年度末教員の大異動が差し迫つていたからといつて…