広告手続を経ない農地買収計画は外部に対して効力を有しない。
広告手続を経ない農地買収計画の効力。
自作農創設特別措置法6条
判旨
農地委員会による農地買収計画は、自作農創設特別措置法が定める公告手続を経ない限り、外部に対してその効力を生じない。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法6条5項が規定する公告手続を経ていない農地買収計画は、外部に対して効力を生ずるか。また、公告の欠如を理由とする無効主張について裁判所は判断を要するか。
規範
行政庁の意思決定が外部的な法的効力を発生させるためには、法令で定められた公告・公示等の手続を履践し、対外的に表示されることを要する。したがって、特定の行政処分について法律が公告手続を規定している場合、その手続を欠く意思決定は対外的な効力を生じない。
重要事実
上告人は、農地委員会が昭和26年6月19日に行った本件農地の買収計画の無効確認を求めた。原審において上告人は「当該買収計画については公告がなされなかった」と主張したが、原審は「買収計画の公告は買収計画の樹立とは別個の問題である」として、公告の有無について判断を示さなかった。
あてはめ
事件番号: 昭和30(オ)695 / 裁判年月日: 昭和31年4月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】先行する買収計画に違法がある場合、計画に対する不服申立期間経過後であっても、後行の買収処分の取消訴訟において計画の違法を主張できる。また、法令上の除外要件に客観的に該当する土地を対象とする買収は、行政庁による指定の有無にかかわらず違法となる。 第1 事案の概要:自作農創設特別措置法に基づき、行政庁…
自作農創設特別措置法6条5項は買収計画の公告手続を定めている。行政手続における公告は処分の効力発生要件または対外的な成立要件としての性質を有するため、公告がなされていない以上、内部的な議決があったとしても外部的な効力は発生しない。原審が「公告は樹立とは別個の問題」として判断を避けたことは、同法の解釈を誤り、処分の効力発生要件に関する審理を尽くさなかったものといえる。
結論
公告手続を経ない農地買収計画は外部に対して効力を生じない。原審の判断には法令解釈の誤りがあるため、破棄を免れない。
実務上の射程
行政処分の成立・効力発生要件としての対外的な表示(告知・公告)の重要性を示す。答案上では、処分の存否や効力発生時期が争点となる場合に、法令が定める公示手続の欠如が処分の効力を否定する根拠となり得ることを論証する際に活用できる。
事件番号: 昭和27(オ)1132 / 裁判年月日: 昭和32年9月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地の買収処分において、登記簿上の名義人を所有者としてなされた処分は、異議申立や出訴期間内に行われた争訟によって是正されない限り、直ちに当然無効とはならない。 第1 事案の概要:政府が自作農創設特別措置法に基づき農地の買収処分を行った際、真実の所有者ではなく登記簿上の名義人を相手方として買収計画お…
事件番号: 昭和28(オ)647 / 裁判年月日: 昭和30年2月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法に基づく買収計画の公告には、買収すべき農地の表示等は不要であり、また所有者への特段の通知も不要である。この解釈は憲法に違反せず、公告を見逃して出訴期間を徒過しても、後の買収処分取消訴訟で計画の適否を争う余地があるため裁判を受ける権利を侵害しない。 第1 事案の概要:上告人は、農…
事件番号: 昭和32(オ)141 / 裁判年月日: 昭和33年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地買収計画の樹立後に法定期間継続して行われた公告は、それが計画の公表を目的とするものである以上、予想公告の性質を帯びていたとしても当然に無効とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、農地買収計画に基づく公告について、その内容が計画の確定前になされた「予想公告」にすぎないと主張し、買収処分の無効…
事件番号: 昭和38(オ)210 / 裁判年月日: 昭和39年2月14日 / 結論: 棄却
原判決が農地買収計画が失効したと認定したのは不合理ではない。