一 漁業協同組合の総会の会日当日において、総会の開会が可能であるかぎり、たとえ開会宣言前であつても、招集権者は、開会の取止めを独断ですることはできない。 二 漁業協同組合に組合員として加入するについて理事会の決議を要すると解される場合には、組合の代表機関が組合を代表して承諾することはできない。
一 漁業協同組合の総会の会日当日において招集権者のした開会取止めの処置の効力 二 漁場協同組合に加入する場合における組合の代表機関の承諾権の有無
水産業協同組合法39条,水産業協同組合法25条,水産業協同組合法32条,水産業協同組合法45条,民法53条,民法54条
判旨
総会の会日当日においては、開会が法律上・事実上可能である限り、招集権者が独断で開会を取りやめる等の処置をすることは許されず、そのような処置は権限の濫用として無効である。
問題の所在(論点)
総会の招集権者は、会日当日において、開会宣言前に独断で会日の変更や延期、流会を決定する権限を有するか。
規範
一たん総会招集の通知が発せられた後、総会招集手続と同様の手続を経て会日の変更等の通知が出席権者に会日前に到達する場合は、その処置は有効である。しかし、会日当日に至っては、たとえ開会宣言前であっても、総会の開会が法律上、事実上可能である限り、招集権者の独断で当日の開会を取りやめる等の処置をとることは許されず、招集権者の独断でした右のような処置は、権限の濫用として無効と解すべきである。
重要事実
漁業協同組合の組合長(上告人)が、自らの自宅を会場として総会を招集した。しかし、当日、上告人は自らの意図が通らず勝算がないと判断し、議場が一時混乱したことを奇貨として、開会宣言をすることなく独断で流会を宣言した。なお、当時の状況は事実上開会が可能であったと認定されている。
あてはめ
本件総会は法律上・事実上開会可能であった。にもかかわらず、招集権者である組合長が、自らの意見が通らないという私的な理由から開会を拒み、流会を宣言したことは、正当な権限の行使とは認められない。このような独断による処置は、総会に参集した出席権者の期待を裏切るものであり、招集権者に認められた権限を濫用したものといえる。
結論
組合長による流会宣言は無効であり、開会が事実上可能であった以上、総会が終了したとは認められない。
実務上の射程
会社法上の株主総会における延期・続行の決定権限(会社法317条)の限界を検討する際の類推適用や、招集権者の権限行使の適格性を論じる際の規範として活用できる。特に当日キャンセルの効力を否定する強力な根拠となる。
事件番号: 昭和36(オ)1376 / 裁判年月日: 昭和38年8月8日 / 結論: 棄却
同族会社における株主総会の招集手続について、有限会社法第三八条等の特別規定はないから、商法第二三二条の手続によらねばならない。
事件番号: 昭和30(オ)631 / 裁判年月日: 昭和32年4月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地買収の申出は農地委員会の積極的行為ではないため委員会の決議を要さず、会長は委員会の代表者として当然にこれを受理する権限を有する。したがって、会長の斡旋による調停の成立があれば、その調停が会長の個人的行為や法令違反を含むものであっても、適法な買収申出があったと認められる。 第1 事案の概要:上告…
事件番号: 昭和35(オ)454 / 裁判年月日: 昭和36年12月21日 / 結論: 棄却
一 株主総会において株主が二派に分かれ、同一議案について二個の決議をなし、その一個がかしのある決議である場合、かしのない決議が後に成立したものであつても、これを適法のものとすることは差支ない。 二 株式の譲受人の氏名が株主名簿に記載されなくても、会社はこれを株主として取り扱うことを妨げない。