一 従前の口頭弁論の結果を陳述した旨の記載が、調書の完成後、立会書記官以外の者によつてなされたときは、適法に弁論の更新が行われたものと認めるをえない。 二 裁判官の更迭があつたのにかからず、適法に弁論の更新手続をしないで、更迭後の裁判官によつてなされた判決は、民訴第三九五条第一号の違法がある。
一 適法に弁論の更新がなされたものと認めえない事例。 二 弁論の更新手続をしないでなされた判決の違法。
民訴法142条,民訴法147条,民訴法187条,民訴法395条
判旨
裁判官が交代した場合の弁論の更新がなされたか否かは、口頭弁論の方式に関する事項として調書によってのみ証すべきであり、調書が事後的に権限のない者によって加筆された場合には、適法な更新の存在を認めることはできない。
問題の所在(論点)
裁判官の交代に伴う弁論の更新が行われた事実を、事後的に第三者が加筆した口頭弁論調書に基づき認定することができるか。また、その欠如が「法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと」に当たるか。
規範
弁論の更新(民訴法249条2項、旧147条)がなされたか否かは、口頭弁論の方式に関するもの(同法160条3項、旧147条)として、口頭弁論調書によってのみ証することができる(証拠力の排他性)。また、調書は適法な権限を有する書記官によって作成・完成されることを要する。
重要事実
第二審の口頭弁論において裁判官が交代したが、口頭弁論調書中の「従前の口頭弁論の結果を陳述し続いて」という弁論の更新を示す記載は、調書の完成後、記録を上級審へ送付する頃に、担当の立会書記官以外の第三者によって無断で加筆されたものであった。
あてはめ
本件では、弁論の更新を証する調書の記載が、担当書記官以外の者によってなされた不当な加筆である。調書の証拠力の排他性から、更新の事実は調書によってのみ証明されるべきところ、本件調書の記載は適法なものとは認められない。したがって、適法に弁論の更新が行われたと認めることはできず、更新手続を経ないまま判決がなされたといえる。
結論
原判決は、法律に従い判決裁判所を構成しなかった裁判官によってなされた違法(民訴法312条2項1号)があり、破棄・差し戻しを免れない。
実務上の射程
口頭弁論調書の絶対的証拠力に関する基本判例。裁判官の交代時には必ず更新が必要であり、その有無は調書の記載により形式的に決まる。実務上は、調書の記載に瑕疵がある場合、手続違背として絶対的上告理由(構成の違法)に直結することを示す極めて厳格な判断基準である。
事件番号: 昭和47(オ)257 / 裁判年月日: 昭和47年11月2日 / 結論: 破棄差戻
高等裁判所の判決言渡が三人の裁判官による合議体によつてされなかつた旨の違法が上告理由で指摘されたのちにおいては、判決言渡が右の合議体によつてされた旨を記載する口頭弁論調書(更正調書)を作成することは許されない。
事件番号: 昭和30(オ)573 / 裁判年月日: 昭和31年10月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証言の一部に事実に符合しない部分があっても、それだけで直ちに他の部分が信用できなくなるものではなく、証拠の採否は事実審の専権に属する。 第1 事案の概要:上告人は、原審における事実認定に関し、経験則に反する認定があること、および採証の法則に違反して事実認定が行われたことを主張した。具体的には、証言…