貸物自動車が、電車運転手の過失に基く衝突によつて破損し、それがため休車した場合において、右自動車の所有者が、休車によりその期間中、これを使用して得べかりし一日金二、〇〇〇円の割合による利益を喪失した旨の主張に対し、特段の事由を示すことなく、右損害は、すべて特別の事情によつて生じた損害であつて、通常生ずべき損害でないとした判断は、経験則違反、審理不尽、理由不備のそしりを免れない。
特別の事情によつて生じた損害であるとした判断が違法とされた事例。
民法709条,民法416条
判旨
営業用車両の損傷に伴う休車損害(得べかりし利益の喪失)は、特段の事情のない限り、不法行為から通常生ずべき損害(通常損害)として認められる。
問題の所在(論点)
営業用貨物自動車が事故により損傷し、修繕等のために休止せざるを得なかったことによる逸失利益(休車損害)は、通常損害(民法416条1項)と特別損害(同条2項)のいずれに該当するか。
規範
不法行為による損害賠償の範囲について、民法416条を類推適用した上で、営業用車両の損傷により当該車両を運行できなくなったことによる得べかりし利益の喪失(休車損害)は、特段の事情がない限り、通常生ずべき損害(通常損害)に当たると解するのが相当である。
重要事実
加害者側の電車運転手が過失により貨物自動車に追突し、同車両を損傷させた。被害者(上告会社)は、本件事故により車両の修繕が必要となり、約4ヶ月間にわたり休車を余儀なくされた。被害者は、事故がなければ得られたはずの1日当たり2,000円、合計70日分以上の純益相当額(14万円)のうち一部(約9万2千円)を消極的損害として賠償請求した。原審は、この休車損害をすべて「特別の事情により生ずべき損害」と認定し、加害者の予見可能性を否定して請求を棄却した。
あてはめ
本件における休車損害は、営業用貨物自動車が衝突により損傷したことに基づく直接的な利益喪失である。営業用車両が損傷すれば、その修繕期間中に本来得られたはずの利益が失われることは、社会通念上、当該事故から通常発生するものと予測される。したがって、被害者が主張する損害のうち少なくとも一部には、特段の事情がない限り通常損害が含まれると解すべきである。原審がその全額を当然に特別損害とした判断は、経験則に反し、審理不尽・理由不備がある。
結論
休車損害は、特段の事情がない限り通常損害に含まれるため、原判決を破棄し、通常損害としての成否を審理させるべく差し戻す。
実務上の射程
営業用車両(トラック、タクシー、バス等)の事故において、代車利用が困難な場合の休車損害を通常損害として構成する際の根拠となる。答案上は、民法416条1項の「通常生ずべき損害」の具体例として、相当因果関係の範囲を論じる際に活用する。
事件番号: 昭和32(オ)710 / 裁判年月日: 昭和35年4月14日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】売買契約解除による損害賠償において、解除時の時価が約定価格より低い場合はその差額を通常損害とし、時価以下で売却せざるを得ない特別事情がある場合はその差額を特別損害とする。 第1 事案の概要:売主(被上告人)は、債務整理の必要から買主(上告人)に物件を売却したが、買主が代金支払を怠ったため契約を解除…