一 組合財産についても、民法第六六七条以下において特別の規定のなされていない限り、民法第二四九条以下の共有の規定が適用される。 二 組合員の一人は、単独で、組合財産である不動産につき登記簿上の所有名義者たる者に対して登記の抹消を求めることができる。
一 組合財産共有の性質。 二 組合員の一人のなす登記抹消請求の許否。
民法第668条,民法第249条,民法252条,民法177条
判旨
組合財産は、実体法上は合有であるものの、民法上は共有の規定が準用されるため、組合員の一人は保存行為として無効な所有権移転登記の抹消を単独で請求できる。
問題の所在(論点)
組合財産が合有であることに鑑み、組合員の一人が単独で、組合所有の不動産についてなされた無効な登記の抹消を求めることができるか。組合財産への共有規定の適用可否と、保存行為の成否が問題となる。
規範
民法上の組合財産は、性質上は合有であるが、民法は共有の規定を置いている。したがって、民法667条以下に特別の規定がない限り、組合財産には民法249条以下の共有の規定が適用される。そして、共有権者の一人が持分に基づき、登記名義人に対し登記の抹消を求めることは、共有物の保存行為(民法252条ただし書)にあたる。
重要事実
組合(民法667条)の財産に属する不動産について、組合員ではない第三者の名義で登記がなされていた。これに対し、組合員の一人が、当該不動産の所有権に基づき、単独で所有権移転登記の全部の抹消を求めて提訴した。
事件番号: 昭和34(オ)960 / 裁判年月日: 昭和35年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の共有者は、保存行為として、共有不動産について無断でなされた不実の登記の抹消を単独で請求することができる。 第1 事案の概要:上告人らは、本件家屋が亡父Dの新築所有にかかり、その死亡により共同相続人である上告人ら両名の共有に属するものであると主張した。これに対し、被上告人B1は無断で自己名義…
あてはめ
組合財産には共有の規定が適用されるところ、不動産の共有権者がその持分に基づき登記名義人に対して登記抹消を求めることは、妨害排除請求であり保存行為に属する。本件において組合員の一人が行う登記抹消請求も、共有物の保存行為に他ならない。したがって、他の組合員との全員共同(必要的共同訴訟)を要せず、単独での請求が認められる。
結論
組合員の一人は、単独で組合財産である不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めることができる。
実務上の射程
組合財産の団体性を認めつつも、管理・保存については共有の規定を柔軟に適用する実務を確立した。登記抹消請求が「保存行為」にあたること、および組合員が単独で行使できることを明示した点で重要である。
事件番号: 昭和34(オ)723 / 裁判年月日: 昭和35年12月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】所有権移転請求権保全の仮登記後、本登記がなされた場合、仮登記と本登記の間になされた処分は、本登記権利者に対して効力を有しない。また、共有不動産に関する登記の回復や抹消の請求は、保存行為として各共有者が単独で行うことができる。 第1 事案の概要:D所有の建物について、Eが所有権移転請求権保全の仮登記…
事件番号: 昭和31(オ)793 / 裁判年月日: 昭和38年2月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律上の要件を欠く家督相続人選定は無効であり、戸籍上の記載が抹消された後は、表見相続人として権利者たる保護を受ける余地はない。真正相続人以外の第三者であっても、表見相続人が自ら権利を主張する場合には、その相続の無効を争い得ると解される。 第1 事案の概要:被相続人Fが死亡し、法定・指定の家督相続人…
事件番号: 昭和29(オ)4 / 裁判年月日: 昭和31年5月10日 / 結論: 棄却
不動産共有者の一人はその持分権に基き、単独で当該不動産につき登記簿上所有名義を有する者に対しその登記の抹消を請求することができる。