昭和二五年七月一八日付連合国最高司令官マツクアーサー元帥の吉田首相あて書簡に基き共産党員またはその支持者に当るものとして解雇された報道機関の従業員がこれに該当するものでないことを理由として解雇の効力を争う訴訟については、日本の裁判所は、裁判権を有するものと解すべきである
昭和二五年七月一八日付連合国最高司令官マツクアーサー元帥の吉田首相あて書簡に該当するものとしてなされた報道機関の従業員の解雇の効力を争う訴訟と日本の裁判所の裁判権
昭和25年7月18日付連合国最高司令官の吉田首相あて書簡,裁判所法3条
判旨
連合国最高司令官の書簡(マ書簡)に基づく解雇であっても、具体的な解雇対象者の選定が事業主の自主的判断に委ねられている以上、解雇が労働組合活動を理由とする不当労働行為にあたるかは裁判所の司法審査の対象となる。
問題の所在(論点)
マ書簡に基づく解雇において、具体的対象者の選定が事業主の判断に委ねられている場合、裁判所は不当労働行為の有無を審査できるか。また、その際の認定基準および不当労働行為意思の必要性はどの程度か。
規範
不当労働行為(労働組合法7条1号等)の成否は、使用者が解雇等の不利益取扱いを行うに際し、労働者の正当な組合活動を実質的な主要根拠とする意思を有していたかによって判断される。マ書簡のような外部的指令に基づく場合であっても、具体的該当者の判断が事業主の責任においてなされるべき性質のものであるときは、特段の挙証責任の転換は認められず、通常の民事訴訟手続に従い、不当労働行為の意思の有無を判断すべきである。
重要事実
上告会社は、連合国最高司令官マックアーサーによる共産党員等の排除を求める書簡(マ書簡)に基づき、従業員DおよびEを解雇した。しかし、両名は実際には共産党員等ではなく、本件解雇は両名の労働組合活動を理由とする不当労働行為であるとして争われた。上告会社は、マ書簡の履行を補助する立場として解雇を行ったものであり、その判断は会社に一任されていたため司法審査に馴染まない、あるいは挙証責任が軽減されるべきと主張した。
あてはめ
マ書簡は抽象的に「共産党員とその支持者」の排除を求めたに過ぎず、具体的個人を指名して解雇を命じたものではない。また、解雇対象者の具体的指定権限が会社に一任されていたという事実も認められない。そのため、会社が主観的にマ指令を実行する意思であったとしても、客観的に共産党員等に該当しない者を解雇し、かつその実質的な主要根拠が労働組合における正当な活動にあると認められる場合には、不当労働行為の故意が肯定される。会社側が指令に「藉口・便乗」したことまで個別に説示・認定せずとも、組合活動を理由とする不利益取扱いの意思があれば足りる。
結論
本件解雇はD、E両名の正当な労働組合活動を主要な根拠としてなされたものであり、不当労働行為として無効である。
実務上の射程
外部的要因(指令や社会的要請)に基づく解雇であっても、具体的選定が使用者に委ねられている場合は不当労働行為の成否が厳格に審査されることを示す。また、不当労働行為の故意(不利益取扱いの意思)の認定において、指令を悪用したという主観的態様の詳細な立証までは不要であり、組合活動を理由とする不利益取扱いの事実から推認可能であることを示唆している。
事件番号: 昭和31(オ)1090 / 裁判年月日: 昭和35年6月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不当労働行為(労組法7条1号等)の成否につき、使用者側に反組合的意思がある場合でも、労働者に顕著な懲戒事由があり、解雇が反組合的意思の実現とは無関連に行われたと認められるときは、不当労働行為は成立しない。 第1 事案の概要:第一組合に所属する上告人らは、争議行為に際し、会社施設の無断使用、会社職員…
事件番号: 昭和27(オ)1053 / 裁判年月日: 昭和29年5月28日 / 結論: 棄却
一 不当労働行為に対する労働委員会の救済命令書には認定事実の記載がなければならない旨の中央労働委員会規則第四三条第二項の法意は、必ずしも、命令書中「認定した事実」と題する項目中に認定事実の記載がなければならないとする趣旨ではなく、主文を含む命令書の記載全体の中に主文を理由づけるに足りる事実理由の記載があれば足りる趣旨と…