特定の新聞紙に紙面、部分、体裁、内容等を指定して謝罪広告の掲載を求める請求の訴訟物の価額は、その新聞広告掲載に要する通常の費用によつて算定すべきである。
新聞に謝罪広告の掲載を求める請求の訴訟物の価額の算定。
民訴法22条
判旨
謝罪広告掲載請求権は、民法723条に基づく名誉回復の処分としてなされるものであっても、訴訟法上の財産権上の請求と解され、その訴訟物の価額は通常の広告費によって算定される。
問題の所在(論点)
名誉回復の処分としての謝罪広告掲載請求が、訴訟法上の「財産権上の請求」にあたるか。また、その訴額をどのように算定すべきか。
規範
名誉毀損に基づく謝罪広告掲載請求(民法723条)は、訴訟法上は「財産権上の請求」に該当する。その訴訟物の価額(訴額)は、当該広告を掲載するために要する「普通の広告費」によって算定すべきである。
重要事実
上告人らは、特定の日刊新聞7紙の朝刊紙面上に、特定の体裁および内容を有する謝罪広告の掲載を求めて提訴した。上告の際、上告人らは620円の印紙を貼用したが、裁判長は広告掲載費用の実額(390万8520円)に基づき、不足分である4万1080円の印紙を追貼するよう命じた。しかし、上告人らは指定された期間内に印紙を追貼しなかった。
あてはめ
上告人らの請求は、新聞紙面という具体的な媒体に広告を掲載することを求めるものであり、その実現には客観的な経済的費用を要する。したがって、これが民法上の名誉回復処分であっても、訴訟法上の財産権上の請求と解するのが相当である。本件において、乙号証によれば広告掲載に要する普通の費用は390万8520円と認められる。この金額を基礎として算定された印紙額を納付しないことは、上告の不適法な欠缺にあたる。
結論
謝罪広告掲載請求は財産権上の請求であり、広告費相当額を訴額として印紙を貼付すべきである。本件上告は印紙不足の補正命令に従わないため、不適法として却下される。
実務上の射程
実務上、名誉毀損に基づく請求において、損害賠償と謝罪広告を併せて請求する場合、合算して印紙代を算出する際の基準となる。非財産権上の請求として一律の訴額(現在は160万円看做し)を適用するのではなく、広告媒体の料金表に基づく実額を基準とする点に注意を要する。
事件番号: 昭和34(オ)1019 / 裁判年月日: 昭和38年4月16日 / 結論: 棄却
甲学界誌において掲載の承諾を得ている外国人学者の講演内容を、乙学界誌が、本人の承諾を得ずに原判示のような不明朗な手段で、通訳から講演訳文原稿を入手した上、甲誌に先がけて掲載発表する等原判決認定のような経緯があるときは、甲誌編集者らが乙誌を非難するのに「盗載」「犯罪的不徳行為」等の言辞を用いたとしても、乙誌の名誉信用を害…
事件番号: 昭和34(オ)901 / 裁判年月日: 昭和39年1月28日 / 結論: 破棄差戻
法人の名誉権が侵害され、無形の損害が生じた場合でも、右損害の金銭評価が可能であるかぎり、民法第七一〇条の適用がある。
事件番号: 昭和43(オ)260 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: 破棄差戻
会社を被申請人とする仮処分命令が、同会社に対しては被保全権利が存在しないとして取り消された場合においても、右会社の取締役が会社の営業と競合する事業を個人として営んでいたため、仮処分申請人が被申請人を右取締役個人とすべきであるにもかかわらず、これを右会社と誤認した等判示の事実関係のもとにおいては、右仮処分命令を取り消す判…