取締役解任の訴えは、会社と取締役の双方を被告とすべき固有必要的共同訴訟である。
取締役解任の訴えの被告適格
商法257条3項,民訴法第1編第3章当事者,民訴法40条
判旨
取締役解任の訴えは、会社と取締役の間の法律関係を解消する形成の訴えであり、手続保障の観点からも、会社と取締役の双方を被告とする固有必要的共同訴訟である。
問題の所在(論点)
取締役解任の訴えにおいて、被告適格を有する者は誰か。特に、会社だけでなく当該取締役も被告に含める必要があるか(固有必要的共同訴訟にあたるか)。
規範
取締役解任の訴え(会社法854条1項、旧商法257条3項)は、会社と取締役との間の会社法上の法律関係の解消を目的とする形成の訴えである。そのため、当該法律関係の当事者である会社と取締役の双方に当事者適格が認められ、両者を被告とすべき固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。
重要事実
上告人は、被上告人(会社)のみを被告として、当時の取締役の解任を求める訴えを提起した。原審は、当該訴訟が会社と取締役の双方を被告とすべき固有必要的共同訴訟であると判断し、取締役が被告に含まれていないことを理由に、本件訴えを不適法として却下した。
あてはめ
まず、本案の性質は会社法上の契約関係の解消を求める形成の訴えであり、関係当事者全員に効力を及ぼす必要がある。次に、実質面を検討すると、訴訟では「取締役の職務遂行に関する不正行為または法令・定款違反の重大な事実」の有無が争点となる。このような個人の名誉や地位に直接関わる事実が判断される以上、当該取締役に対する手続保障を確保しなければならない。したがって、会社のみならず当該取締役にも当事者適格を認め、双方を被告とすることが論理的かつ衡平にかなう。
結論
取締役解任の訴えは、会社と取締役を共同被告とする固有必要的共同訴訟であり、会社のみを被告とする訴えは不適法である。
実務上の射程
会社法上の各種の訴えにおける被告適格を検討する際の基礎となる。特に形成の訴えにおいて、対世的効力が生じる場合であっても、個人の権利義務や名誉に直接影響を及ぼす事案では、手続保障の観点から固有必要的共同訴訟性が認められやすいことを示す。答案では、会社法854条に基づく解任の訴えの要件論とセットで、被告適格の不備による却下を検討する際に用いる。
事件番号: 昭和41(オ)868 / 裁判年月日: 昭和42年3月14日 / 結論: 棄却
株主である取締役は、当該取締役の解任に関する株主総会の決議については、商法第二三九条第五項にいう特別の利害関係を有する者にあたらない。
事件番号: 昭和39(オ)1435 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: 破棄自判
宗教法人を当事者としない訴によつて当該法人の代表者たる地位の確認を求めることは、即時確定の利益を欠き、許されない。
事件番号: 昭和50(オ)157 / 裁判年月日: 昭和50年6月27日 / 結論: 棄却
取締役の解任を目的とする臨時総会の招集は、少数株主による招集請求に基づくときでも、商法二七一条一項にいう会社の常務に属さない。
事件番号: 昭和57(オ)1419 / 裁判年月日: 昭和59年9月28日 / 結論: 棄却
株主総会における取締役選任決議の無効確認請求訴訟を本案とする代表取締役の職務執行停止及び職務代行者選任の仮処分がされた場合に、本案訴訟において会社を代表すべき者は、職務の執行を停止された代表取締役ではなく、代表取締役職務代行者である。