破産者所有の不動産に対する競売手続において交付要求がされたときは、交付要求に係る請求権に基づき破産宣告前に国税徴収法又は国税徴収の例による差押え又は参加差押えがされている場合を除き、交付要求に係る配当金は、破産管財人に交付すべきである。
破産者所有の不動産に対する競売手続における交付要求に係る配当金を交付すべき相手方
民事執行法84条,民事執行法87条1項,民事執行法188条,破産法47条2号,破産法49条,破産法51条1項,破産法71条1項,破産法95条,国税徴収法82条
判旨
破産者所有の不動産に対する競売手続において、破産宣告前に差押えがされていない租税債権の交付要求がなされた場合、配当金は直接徴収機関に支払われるのではなく、破産管財人に交付すべきである。交付要求は自ら換価を行う滞納処分には当たらず、破産法上の財団債権として、管財人の裁量と責任による随時弁済の手続に従うべきだからである。
問題の所在(論点)
破産者所有の不動産に対する担保権実行手続(別除権の行使)において、破産宣告前になされた差押えを伴わない交付要求に係る配当金は、徴収機関が直接受領できるか、それとも破産管財人に交付すべきか。交付要求が旧破産法71条1項(現行100条1項)の「滞納処分」に該当するかが問題となる。
規範
1. 破産法における滞納処分の続行(旧法71条1項、現行100条1項)は、破産宣告前に開始された滞納処分(差押え)を例外的に認める趣旨であり、徴収職員が自ら強制換価手続を行わない「交付要求」はこれに含まれない。 2. 租税債権は財団債権(旧法47条2号、現行148条1項3号)として随時弁済の対象となるが、それは破産管財人の管理・処分の権限及び裁量の下、破産手続内の合理的判断に基づき行われるべきである。 3. したがって、破産宣告前に滞納処分による差押えがされていない限り、交付要求に係る配当金は破産管財人に交付されるべきである。
重要事実
1. 債権者Dが債務者E所有の不動産につき抵当権を実行し、競売開始決定がなされた。 2. その後、Eが破産宣告を受け、被上告人が破産管財人に選任された。 3. 税務署長は、本件不動産の競売事件に対し、破産宣告後に国税の交付要求を行った。 4. 執行裁判所は、国税の配当分(7万1500円)を破産管財人に交付する内容の配当表を作成したため、国(上告人)がこれを不服として争った。なお、国は破産宣告前に本件不動産の差押えを行っていなかった。
あてはめ
1. 交付要求は、他の執行機関による強制換価手続に参入するものであり、徴収職員自らが手続を進める滞納処分(差押え等)には当たらない。ゆえに、破産法上の滞納処分の続行規定(旧法71条1項)の適用はない。 2. 国税債権は財団債権として破産手続外で随時弁済を受ける権利があるが、それは破産財団を管理する破産管財人による弁済を意味する。 3. 本件では、破産宣告前に滞納処分による差押えがなされていない以上、破産手続の円滑な進行と総債権者の公平を図る管財人の職務を優先すべきであり、配当金は管財人に交付され、管財人から弁済を受ける形をとるのが相当である。
結論
本件配当金は破産管財人に交付すべきである。したがって、管財人への交付を認めた原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
破産管財人が別除権行使に伴う配当から財団債権(租税)を管理下に置くための法的根拠として重要。答案上では、租税債権の優先順位(共益費用に次ぐ)を確認した上で、交付要求がなされた際の具体的な代金受領権者の確定プロセスとして活用する。差押えの有無が射程を画する。現行法100条下でも同様の理が妥当する。
事件番号: 昭和41(オ)255 / 裁判年月日: 昭和47年6月30日 / 結論: 棄却
不動産の任意競売の申立人は、被担保債権につき、申立書に表示した債権の額に制限されないで、競売代金から配当を受けることができる。