有限会社の社員がその持分を社員でない者に対して譲渡した場合において、右譲渡人以外の社員全員がこれを承認していたときは、右譲渡は、社員総会の承認がなくても、譲渡当事者以外の者に対する関係においても有効である。
有限会社の社員全員の承認の下にされた持分譲渡の効力
有限会社法19条2項
判旨
有限会社の社員が持分を非社員に譲渡する際、譲渡人以外の社員全員の承認があれば、社員総会の承認を欠いていても、当事者以外の第三者に対する関係においても当該譲渡は有効である。
問題の所在(論点)
有限会社法19条2項(現会社法585条等参照)に基づき、社員が持分を非社員に譲渡する際に必要とされる社員総会の承認がない場合であっても、他の社員全員が承認していれば、当該譲渡は第三者に対しても有効となるか。
規範
持分譲渡に社員総会の承認を要する趣旨は、会社にとって好ましくない者の参入を防止し、譲渡人以外の社員の利益を保護することにある。したがって、譲渡人以外の社員全員が当該譲渡を承認している場合には、社員総会の承認を欠いていても、譲渡当事者以外の者に対する関係においても有効と解するのが相当である。
重要事実
有限会社B1の社員はD、上告人、被上告人B2の3名であった。Dは持分の一部を非社員であるEらに贈与したが、この贈与について被上告会社の社員総会の承認は経ていなかった。もっとも、Dを除く社員全員(上告人及びB2)が、事実上当該贈与を承認していた。
事件番号: 平成1(オ)1006 / 裁判年月日: 平成5年3月30日 / 結論: 棄却
一 代表取締役が取締役と認めていない者は、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律二四条一項にいう取締役に当たらない。 二 いわゆる一人会社の株主がした株式譲渡は、定款所定の取締役会の承認がなくても、会社に対する関係においても有効である。
あてはめ
本件贈与について、形式的な社員総会の承認手続は経られていない。しかし、譲渡人D以外の社員である上告人及びB2の全員が、本件贈与を事実上承認していた。持分譲渡制限の趣旨が既存社員の利益保護にある以上、保護を受けるべき社員全員が同意している本件においては、会社や第三者に対する関係でも譲渡を有効と認めて差し支えない。
結論
本件贈与は、社員総会の承認を欠いているものの、他の社員全員の承認があるため、譲渡当事者以外の者に対する関係においても有効である。
実務上の射程
会社法下の合同会社における持分譲渡(604条2項)や、株式会社における譲渡制限株式の譲渡承認(139条1項)において、承認手続を欠く譲渡の効力を争う場面で、実質的承認の有無を論じる際の有力な指針となる。
事件番号: 平成5(オ)1939 / 裁判年月日: 平成9年1月28日 / 結論: 棄却
有限会社の持分が数人の共有に属する場合、有限会社法二二条、商法二〇三条二項にいう社員の権利を行使すべき者は、その共有持分の価格に従い過半数をもって定める。
事件番号: 昭和52(オ)833 / 裁判年月日: 昭和53年4月14日 / 結論: 棄却
有限会社の社員総会において、その社員である特定の者を取締役に選任すべき決議をする場合に、その特定の者は、右決議につき特別の利害関係を有する者にあたらない。
事件番号: 平成15(受)1259 / 裁判年月日: 平成16年7月8日 / 結論: 破棄差戻
株式会社の代表取締役甲らが容易に現金化が可能な約10億円の純資産を有する当該会社の全株式を合計2億円で売却したことにつき,それが不自然ではないといえるような特段の事情が存在しない上,上記売却は,甲らの全面的な信頼を受けて甲らの資産管理を受託していた乙が甲らの財産の保全,増加に必要であるとして提案し,甲らがこれに全面的に…
事件番号: 平成1(オ)573 / 裁判年月日: 平成2年12月4日 / 結論: 棄却
一 株式を相続により準共有するに至った共同相続人は、商法二〇三条二項にいう「株主ノ権利ヲ行使スベキ者」の指定及びその旨の会社に対する通知を欠く場合には、特段の事情がない限り、株主総会決議不存在確認の訴えにつき原告適格を有しない。 二 株式を準共有する共同相続人間において商法二〇三条二項にいう「株主ノ権利ヲ行使スベキ者」…