破産手続が終結した後における破産者の財産に関する訴訟については、当該財産が破産財団を構成し得るものであったとしても、追加配当を予定すべき特段の事情がない限り、破産管財人は被告適格を有しない。
破産終結後における破産者の財産に関する訴訟と破産管財人の被告適格
破産法162条,破産法283条1項
判旨
破産手続終結後の破産財産に関する訴訟では、破産管財人が追加配当を予定すべき特段の事情がない限り、管財人は当事者適格を喪失し、破産者が管理処分権限を回復する。
問題の所在(論点)
破産手続が終結した後において、破産財団に属し得た財産に関する訴訟(登記抹消請求等)につき、破産管財人に当事者適格(被告適格)が認められるか。破産管財人の管理処分権限の存続範囲が問題となる。
規範
破産手続が終結した場合、原則として破産管財人の管理処分権限は消滅し、以後、破産者が管理処分権限を回復する。したがって、破産管財人に当事者適格が認められるためには、破産手続の過程で、終結後に当該財産をもって追加配当の対象とすることを予定し、又は予定すべき「特段の事情」があることを要する。
重要事実
D社は、昭和40年に本件根抵当権設定登記を経由したが、昭和41年に破産宣告を受けた。D社の破産手続は、昭和50年12月に終結した。その後、平成2年10月に、本件土地建物の所有者である被上告人が、元破産管財人(上告人)を被告として、本件登記の抹消登記手続を求める訴えを提起した。
事件番号: 平成4(オ)1128 / 裁判年月日: 平成7年11月10日 / 結論: 棄却
譲渡担保権者は、担保権を実行して確定的に抵当不動産の所有権を取得しない限り、民法三七八条所定の滌除権者たる第三取得者に当たらない。
あてはめ
本件登記に係る被担保債権は破産財団を構成し得るものであったが、D社の破産手続は本件訴え提起の約15年前に既に終結している。記録上、破産管財人において当該債権を将来の追加配当の対象とすることを予定していた事実は認められず、また予定すべき「特段の事情」も伺われない。そうであれば、破産管財人の任務は終了しており、当該財産に対する管理処分権限も消滅しているといえる。したがって、元破産管財人である上告人に被告適格は認められない。
結論
本件訴えは、被告適格を欠く不適法な訴えとして却下されるべきである。被上告人は、破産管財人ではなく、破産者であるD社を被告として訴えを提起すべきであった。
実務上の射程
破産手続の「終結」による管財人の権限消滅の原則を明示したものである。実務上、終結後に発見された財産や残存する登記の処理については、追加配当の蓋然性がない限り、破産者自身(法人であれば清算人等)を相手方とすべきことを示唆している。
事件番号: 昭和38(オ)412 / 裁判年月日: 昭和39年8月13日 / 結論: 棄却
不動産所有権を取得したが本登記手続を経ない仮登記権利者は、右不動産上の抵当権者に対し被担保債務が弁済されたことを理由に当該抵当権設定登記の抹消登記手続を請求し得ない。
事件番号: 平成6(オ)1835 / 裁判年月日: 平成7年6月23日 / 結論: 棄却
一 債権者甲の債務者乙に対する債権を担保するために所有不動産に根抵当権を設定した丙が甲との間に民法五〇四条に規定する担保保存義務を免除する旨の特約をしていた場合に、甲が、右担保に追加して乙所有の不動産に設定を受けた根抵当権を放棄した上、丙に対し右特約の効力を主張することは、乙から設定を受けた右追加担保が甲の乙に対する追…
事件番号: 平成9(オ)1771 / 裁判年月日: 平成11年10月21日 / 結論: 棄却
後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができない。
事件番号: 昭和27(オ)1116 / 裁判年月日: 昭和28年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】基本債権が消滅時効の完成により消滅した場合、これを目的として締結された停止条件付代物弁済契約は失効し、その後に代物弁済の選択権を行使することはできない。 第1 事案の概要:債権者と債務者の間で、基本債権について停止条件付代物弁済契約が締結されていた。しかし、基本債権について昭和20年5月25日以降…