合名会社の解散後に死亡した社員の共同相続人の全員が社員である場合においても、遺産の分割がされ、死亡した社員の持分の共有関係が解消されるまでの間に、相続人が清算に関して右持分に基づく権利を行使するには、商法一四四条の規定に従い、そのうち一人を権利行使者と定めることを要する。
合名会社の解散後に死亡した社員の共同相続人の全員が社員である場合と商法一四四条所定の権利行使者の指定の要否
商法144条
判旨
合名会社の解散後に社員が死亡し共同相続が発生した場合、共同相続人の全員が社員であっても、清算に関する権利行使には権利行使者一人の選任を要する。
問題の所在(論点)
合名会社の解散後に社員が死亡し、共同相続人が発生した場合において、相続人全員が既に社員であるときでも、持分に係る権利行使者の指定が必要か。
規範
合名会社の解散後に社員が死亡し、その持分が数人の相続人に帰属した場合、遺産分割により共有関係が解消されるまでの間、共同相続人が清算に関する権利を行使するには、旧商法144条(現行会社法106条類推ないし584条等)に従い、そのうち一人を当該権利を行使する者と定めなければならない。この理は、共同相続人の全員が既に会社の社員である場合であっても同様に適用される。
重要事実
合名会社が解散した後に、同社の社員が死亡した。当該社員には複数の相続人が存在し、その相続人全員がもともと当該合名会社の社員であった。遺産分割が未了の状態で、死亡した社員の持分に基づく清算に関する権利(残余財産分配請求等に関連する権利)の行使の態様が争点となった。
あてはめ
合名会社の社員の持分は、相続により共有状態となる。この共有関係が遺産分割で解消されない限り、会社に対する関係では一団の権利として扱われる必要がある。共同相続人が既に社員の地位を有しているとしても、死亡した社員から承継した持分に基づく権利行使は、個別の社員としての地位とは別個に管理されるべきものである。したがって、手続の明確性と会社の事務処理の便宜を定めた法定の権利行使者指定制度を排除する理由はない。
結論
共同相続人の全員が社員であっても、死亡した社員の持分に基づき清算に関する権利を行使するには、その中から一人を権利行使者として定める必要がある。
実務上の射程
持分会社における持分の共同相続時の権利行使に関する一般原則を示したもの。会社法下の持分会社(584条等)や株式会社(106条)の権利行使者指定についても、相続人が既に株主・社員である場合を含め、同様の法理が適用されると解すべき有力な論拠となる。
事件番号: 昭和28(オ)67 / 裁判年月日: 昭和33年2月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】解散後の組合においては、組合員の死亡は脱退原因(民法679条1号)とはならず、死亡した組合員の有する残余財産分配請求権は、その相続人に当然に承継される。 第1 事案の概要:上告人は、他の全組合員(D、E、F)の承諾を得て組合共有の金員を借用した。その際、返還債務の担保として、全組合員の同意の下、組…