宗教法人の代表役員に就任した者が、宗教法人に対し、その代表役員の地位にあることの確認を訴求するとともに、自己の解任及び後任の代表役員の就任又はその辞任の各登記の抹消登記手続を求めて提起した訴えは、訴えの利益を欠く。
宗教法人の代表役員に就任した者がその地位にあることの確認の訴えとともに提起した自己の解任及び後任者の就任等の各登記の抹消登記手続を求める訴えの利益の有無
民訴法2編1章訴,宗教法人法65条,商業登記法109条1項2号
判旨
宗教法人の代表役員が、自身の地位確認の訴えと併せて後任者の登記等の抹消登記請求を提起した場合、確認判決の確定により自ら登記申請が可能となるため、抹消登記請求は訴えの利益を欠き不適法となる。
問題の所在(論点)
代表役員の地位確認の訴えを提起している場合において、それと併せて後任者の代表役員登記の抹消を求める訴えを提起することは、訴えの利益(必要性)が認められるか。
規範
宗教法人の代表役員が、宗教法人に対し自己の代表役員の地位にあることの確認を求めるとともに、後任者らの就任・辞任等の登記の抹消登記申請をすべきことを求めて訴えを提起したとき、後者の訴えは、訴えの利益を欠き不適法である。なぜなら、代表役員は一名に限定されており(宗教法人法18条1項)、地位確認の確定判決が得られれば、代表役員自らがその確定判決謄本を無効原因の証明書面として添付し、単独で抹消登記を申請できるからである(同法65条、商業登記法109条1項2号本文参照)。
重要事実
被上告人(元代表役員)は、上告人(宗教法人)に対し、自身の代表役員の地位確認を求めるとともに、自身が解任され後任者が就任した旨の登記等の抹消登記手続を求めて出訴した。一審および二審はこれらの請求をいずれも認容したため、上告人が抹消登記請求の適法性等を争い上告した。
事件番号: 昭和41(オ)1097 / 裁判年月日: 昭和42年6月6日 / 結論: 棄却
不動産の所有権が順次甲、乙、丙と譲渡された場合に、甲が乙に対し所有権移転登記をする意思で、登記申請書類を交付していたときは、甲の右登記申請意思は、丙が右書類を利用して甲から丙に直接所有権移転登記をすることを無効たらしめるものではない。
あてはめ
宗教法人の代表役員の地位にあることの確認判決は、口頭弁論終結時に至るまで地位を喪失していないことを理由とするものである。本件において、被上告人の地位確認判決が確定すれば、宗教法人法上、代表役員は一名に限られるため、これと矛盾する後任者の解任・就任・辞任登記はいずれも当然に無効となる。被上告人は代表役員として、この確定判決謄本を「登記事項に無効の原因があることを証する書面」として自ら法務局に提出し、抹消登記を申請することが可能である。したがって、別途訴えをもって抹消登記手続を強制する必要性は認められないといえる。
結論
代表役員の地位確認請求に伴う登記抹消請求の訴えは、訴えの利益を欠き却下されるべきである。
実務上の射程
宗教法人の役員地位紛争において、登記の是正は代表者自身が行うべき「職務」の一環として構成される。地位確認判決さえ得られれば登記は実務上是正可能であるという「判決による代替」の考え方を示すものであり、民事訴訟法上の訴えの利益の有無を判断する際の定石的な判例として活用できる。
事件番号: 昭和45(オ)552 / 裁判年月日: 昭和46年10月26日 / 結論: 棄却
私立学校法による学校法人の代表権を有する理事の職務執行停止・代行者選任の仮処分によつて選任された理事の職務代行者と学校法人との利益相反する事項については、私立学校法四九条、民法五七条が準用される。
事件番号: 平成20(受)1565 / 裁判年月日: 平成21年9月15日 / 結論: 棄却
宗教法人がその所有する土地の明渡しを求める訴えは,請求の当否を決する前提問題となっている占有者である住職に対する擯斥処分の効力を判断するために,宗教上の教義ないし信仰の内容に立ち入って審理,判断することを避けることができないという事情の下においては,裁判所法3条にいう「法律上の争訟」に当たらず,不適法である。
事件番号: 昭和27(オ)1198 / 裁判年月日: 昭和28年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】任意代理人が復代理人を選任する際、民法104条にいう「やむを得ない事由があるとき」の判断にあたっては、原審が認定した具体的な事実関係に照らして判断すべきである。本件では、上告人の妻による復代理人の選任は同条の要件を満たすと判断された。 第1 事案の概要:上告人の妻が任意代理人として行為するにあたり…