私立学校法による学校法人の代表権を有する理事の職務執行停止・代行者選任の仮処分によつて選任された理事の職務代行者と学校法人との利益相反する事項については、私立学校法四九条、民法五七条が準用される。
仮処分によつて選任された学校法人の理事の職務代行者の利益相反行為と私立学校法四九条、民法五七条の準用
私立学校法49条,民法57条
判旨
学校法人の理事職務代行者と法人との利益相反事項については私立学校法49条等が準用されるが、代行者の過去の不正行為等の事情のみでは、当該訴訟追行において法人の利益を犠牲にする客観的なおそれがあるとはいえず、利益相反には当たらない。
問題の所在(論点)
学校法人の理事職務代行者について利益相反による特別代理人選任規定が準用されるか。また、代行者に過去の不正等の事情がある場合、法人との利益相反が認められるか。
規範
学校法人の理事職務代行者は、法人に対し理事と類似の権利義務・責任を有する。そのため、法人と職務代行者の利益が相反する事項については、私立学校法49条(現108条等)及び民法57条(現108条等)が準用される。利益相反の有無は、代行者が法人を代表して訴訟を追行することにより、法人自体の利益を犠牲にするおそれが「客観的に存在するか」否かによって判断すべきである。
重要事実
上告人は被上告法人を相手に訴えを提起した。被上告法人の理事長職務代行者としてDが選任されていたが、上告人は、Dが以前役員であった際に上告人の辞任登記手続で不正行為をしたと主張。Dが法人を代表することは法人との利益相反に当たるとして、別途Eを特別代理人として選任することを求めた。原審はEに代表権がないとして訴えを却下したため、上告人が争った。
あてはめ
Dが過去に不正行為を行ったとの主張があったとしても、その事実から直ちに、本件訴訟においてDが法人を代表して訴訟を追行することが、被上告法人の利益を犠牲にする客観的なおそれにつながるとは認められない。したがって、本件は利益相反により特別代理人を選任すべき場合にはあたらず、別途選任されたEには代表権が認められない。上告人が正当な代表者を補正しない以上、訴えは不適法である。
結論
理事職務代行者と法人の利益相反は認められず、特別代理人の選任は不要である。正当な代表者による補正がない本件訴えは不適法として却下される。
実務上の射程
職務代行者の地位が「仮処分により創設された公職」であることを認めつつ、実質的には理事と同様の規律(利益相反)が及ぶことを示した。実務上、利益相反の判断は形式的な過去の経緯ではなく、当該訴訟追行における「法人利益への客観的な侵害のおそれ」で厳格に判断される。
事件番号: 昭和34(オ)1128 / 裁判年月日: 昭和37年10月2日 / 結論: 棄却
親権者が自己の負担する貸金債務につき未成年の子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、借受金を右未成年の子の養育費に供する意図であつても、民法第八二六条にいう「利益が相反する行為」にあたる。
事件番号: 昭和54(オ)549 / 裁判年月日: 昭和57年11月26日 / 結論: 破棄差戻
一 訴訟行為には民法八二五条は適用されない。 二 民法八二六条一項の規定による特別代理人の選任申立は、父母が共同で親権を行う場合においても、その一方が単独ですることができる。 三 民法八二六条一項の規定に基づいて選任された特別代理人が親権者のした未成年者所有不動産の担保提供行為を追認することは、その被担保債務について特…
事件番号: 昭和42(オ)473 / 裁判年月日: 昭和45年5月22日 / 結論: 棄却
後見人が未成年者を代理して後見人の内縁の夫に対し未成年者所有の土地を無償譲渡する行為は、旧民法九一五条四号にいう「後見人ト被後見人トノ利益相反スル行為」にあたる。