法人税青色申告に係る更正通知書に、更正の理由として、「減価償却費の償却超過額三六万八〇三六円。四八年六月取得の冷暖房設備について機械として特別償却していますが、内容を検討した結果、建物附属設備と認められ、特別償却の適用はありませんので、次の計算による償却超過額は損金の額に算入されません。(種類)冷暖房設備(償却限度額)一七万三三一九円(貴社計算の償却費額)五四万一三五五円(差引償却超過額)三六万八〇三六円」と附記されているときは、、その記載は、右設備が法人税法二条二四号、同法施行令一三条一号所定の「建物附属設備」である「冷房設備」に当たり、租税特別措置法(昭和四九年法律第一七号による改正前のもの)四五条の二第一項所定の「機械」に当たらず、その減価償却費は法人税法三一条一項所定の普通償却の限度において算定されるべきであるとする趣旨のものということができ、当該更正に法人税法一三〇条二項所定の理由附記の不備の違法があるとはいえない。
法人税青色申告に係る更正に理由附記不備の違法がないとされた事例
法人税法130条2項
判旨
青色申告に係る法人税の更正において、帳簿書類の記載自体を否認せず、納税者の評価(勘定科目の該当性等)を修正するにすぎない場合、更正理由の附記は、処分庁の恣意抑制と不服申立ての便宜という制度趣旨を充足する程度に具体的根拠が明示されていれば、特段の資料を摘示していなくとも適法である。
問題の所在(論点)
青色申告に係る更正通知書において、帳簿書類の記載事実を前提としつつ勘定科目の該当性等の法的評価を修正する場合、どの程度の理由附記があれば法人税法130条2項の要求を満たすか。
規範
法人税法130条2項が更正理由の附記を求める趣旨は、処分庁の判断の慎重・合理性を担保して恣意を抑制するとともに、納税者に更正の理由を知らせて不服申立ての便宜を与える点にある。帳簿書類の記載自体を否認する場合、帳簿以上に信憑力のある資料を具体的に摘示する必要があるが、帳簿の記載を前提とした上で法的評価のみを修正する場合、上記制度趣旨を充足する程度に更正の根拠が具体的に明示されていれば足り、必ずしも信憑力のある資料の摘示までは要しない。
事件番号: 昭和40(行ツ)5 / 裁判年月日: 昭和47年3月31日 / 結論: 棄却
法人税青色申告についてした再更正処分の通知書に、その理由として、「借地権計上洩金三三〇万円」等と記載されており、また、その再調査請求棄却決定の通知書に、その理由として「(株)B工業所並びに(株)Gはともに同族会社であり、資産の譲渡による行為計算は同族会社の行為計算否認に該当するとした当初の処分は相当であり、計算過程によ…
重要事実
青色申告法人である被上告人は、昭和48年取得の冷暖房設備につき、租税特別措置法上の「機械」に該当するとして特別償却を適用し確定申告を行った。これに対し上告人(税務署長)は、当該設備は法人税法上の「建物附属設備」にすぎず「機械」には当たらないとして、特別償却を否認し普通償却限度額を超える部分を損金不算入とする更正処分を行った。更正通知書には、対象物件、認定された種類(建物附属設備)、計算根拠としての償却限度額および超過額が記載されていたが、なぜ「機械」に当たらないのかという判断の基礎となった具体的事実関係や資料は摘示されていなかった。
あてはめ
本件更正は、冷房機の存在や取得価額といった帳簿記載の事実を否定せず、その属性に関する評価(「機械」か「建物附属設備」か)を修正したにすぎない。したがって、帳簿自体の否認を伴う場合とは異なり、資料の摘示は必須ではない。更正通知書には、本件冷房機が「建物附属設備」に当たり特別償却の適用がない旨が明記されており、冷房機がその構造・機能から原則として建物附属設備等に該当することを踏まえれば、処分庁の判断過程は検証可能であり、不服申立ての便宜も損なわれていないといえる。よって、処分庁の恣意抑制および不服申立ての便宜という趣旨を充足する程度に具体的根拠が示されていると評価できる。
結論
本件更正通知書の理由附記に不備はなく、法人税法130条2項に違反しない。
実務上の射程
青色申告の更正理由附記の程度を「帳簿否認」と「評価の修正」に分ける基準を示した重要判例である。答案上は、理由附記の趣旨(恣意抑制・不服申立ての便宜)から説き起こし、事案が事実認定の争いか法的評価の争いかを見極めて、必要とされる具体性の程度を導く際の規範として活用する。
事件番号: 昭和50(行ツ)84 / 裁判年月日: 昭和54年4月19日 / 結論: 破棄自判
甲の法人税青色申告について、乙に対する支払家賃の損金算入を否認してした更正の通知書に、更正の理由として、「乙に対する未払家賃は債務未確定のため」と記載されているだけで、右認定の資料の摘示が全くない場合には、右資料の摘示を欠く点において更正の理由附記として不備があり、右更正は違法である。
事件番号: 昭和45(行ツ)36 / 裁判年月日: 昭和49年4月25日 / 結論: 棄却
一、旧法人税法(昭和二二年法律第二八号)二五条九項による青色申告書提出承認取消処分の通知書には、右取消が同条入項各号のいずれによるものであるかを附記するのみでは足りず、取消の基因となつた事実をも処分の相手方において具体的に知りうる程度に特定して摘示しなければならない。 二、旧法人税法(昭和二二年法律第二八号)二五条九項…
事件番号: 昭和43(行ツ)61 / 裁判年月日: 昭和47年12月5日 / 結論: 棄却
一、法人税青色申告についてした更正処分の通知書に、係争事業年度所得の更正の理由として、「営業譲渡補償金計上もれ一一五五万円」、「認定利息(代表者)計上もれ一万九八三九円」、清算所得の更正の理由として、「代表者仮払金三九万六八九〇円」、「営業譲渡補償金九〇五万円」と記載されているにすぎない場合には、いずれも理由附記として…