愛知県公文書公開条例(昭和61年愛知県条例第2号)に基づき公開請求された公文書の非公開決定の取消訴訟において,当該公文書が書証として提出された場合であっても,上記決定の取消しを求める訴えの利益は消滅しない。
愛知県公文書公開条例(昭和61年愛知県条例第2号)に基づき公開請求された公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出された場合における訴えの利益の消長
行政事件訴訟法9条,愛知県公文書公開条例(昭和61年愛知県条例第2号)8条1項
判旨
知事交際費の公開に関し、不特定の者に知られ得る状態で行われる「会費」等の情報は、事務事業の目的を損なう等の非公開事由(旧愛知県条例6条1項9号)に当たらない。また、非公開事由に該当する独立した一体的な情報を細分化して一部公開することを義務付ける規定がない場合、その一部のみを公開すべきとして非公開決定を取り消すことはできない。
問題の所在(論点)
1. 知事交際費のうち、相手方が識別され得る情報は「事務事業の目的が損なわれ、又は公正かつ円滑な執行に支障を生ずるおそれ」(条例6条1項9号)に該当するか。 2. 非公開事由に該当する情報が含まれる公文書について、情報を細分化して一部を公開させる「部分公開」の義務が認められるか。
規範
1. 事務事業執行支障(9号)の判断枠組み:情報の公開により、交際の相手方との信頼関係を損ない、あるいは知事が将来の支出を差し控える等、交際事務の目的や公正・円滑な執行に支障を生ずるおそれがある場合は非公開とできる。ただし、相手方の氏名等が公表されることがもともと予定されているなど、不特定の者に知られ得る性質のものは例外的に公開すべきである。 2. 部分公開(6条2項)の限界:非公開事由に該当する「独立した一体的な情報」をさらに細分化し、その一部のみを公開することを実施機関に義務付ける規定がない限り、裁判所が細分化した上での部分公開を理由に非公開決定を取り消すことはできない。
事件番号: 平成9(行ツ)55 / 裁判年月日: 平成14年2月28日 / 結論: その他
市長の交際費に係る公文書に記録されている交際の相手方が識別され得る情報のうち,訪問の際の手土産代,懇談会の経費,各種あいさつ状の経費その他の接遇費に係るものについて,実施機関に接遇費の具体的な類型を明らかにさせて,相手方の氏名等を公表することによって市長の交際事務の公正又は円滑な運営に支障が生じるおそれ等があるとは認め…
重要事実
愛知県知事の交際費の使途(香料、祝金、会費等)に関する公文書の公開請求に対し、知事は相手方が識別され得る情報を一括して非公開とした。原審は、支出の相手方等の特定の記載を除いた残余の部分を公開すべきとしたが、上告審では「会費」の性質と「部分公開」の可否が争点となった。
あてはめ
1. 香料や祝金等は、県と相手方の関係に基づき個別裁量で決定されるため、公開により信頼関係が損なわれるおそれがあり9号に該当する。一方「会費」は相手方が定額を定めるのが通常であり、知事がポスト指定で会員となっている場合等、公表が予定されている蓋然性があるため、9号の例外に該当し得る。 2. 本件条例6条2項は、複数の情報が記録されている場合に「情報単位」での分離を認めるにすぎない。現金出納簿や領収書における各支出情報は、全体で「独立した一体的な情報」を構成しており、そこから相手方名等の要素だけを細分化して抽出・公開することを義務付ける定めはない。したがって、一体として非公開とした判断を部分公開義務違反として取り消すことはできない。
結論
1. 会費については9号例外の該当性をさらに審理すべきとして差し戻した。 2. 香料等の一体的な情報については、細分化した部分公開を認めた原審を破棄し、非公開決定を適法とした。
実務上の射程
行政法における「部分公開」の可否を論じる際の最重要判例の一つである。現行の情報公開法6条2項(義務的部分公開)の有無による判断の違いを整理する際に用いる。また、知事交際費の「事務事業執行支障」の判断基準(例外要件:不特定の者に知られ得る性質)は、同様の非公開事由を検討する際のスタンダードとなる。
事件番号: 平成13(行ヒ)348 / 裁判年月日: 平成17年7月14日 / 結論: その他
北九州市の局長の交際費の支出に関する情報で交際の相手方が識別されるものは,交際の相手方及びその内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものなどを除き,旧北九州市情報公開条例(平成元年北九州市条例第22号。平成13年北九州市条例第42号による全部改正前のもの)6条7号所定の非公開情報に該当する。(反対意見があ…
事件番号: 平成9(行ツ)152 / 裁判年月日: 平成13年5月29日 / 結論: その他
京都府知事が平成元年度に支出した交際費に係る資金前渡金受払表で交際の相手方が識別され得る情報が記録されているもののうち,個人に対する結婚祝い又は個人に対する受賞祝賀会の祝いに係る祝金に関する情報が記録されている部分は,京都府情報公開条例(昭和63年京都府条例第17号)5条1号及び6号に該当する。
事件番号: 平成13(行ヒ)18 / 裁判年月日: 平成16年2月13日 / 結論: その他
1 京都市交通局の開催した飲食を伴う協議に地下鉄建設事業地域の地元住民の団体に所属する者及び地権者の団体に所属する者が出席したことに関する情報は,同協議が上記各団体に地下鉄建設工事の内容の説明等を行うことなどを目的としていたという事実関係の下においては,京都市公文書の公開に関する条例(平成3年京都市条例第12号)8条1…
事件番号: 平成8(行ツ)210 / 裁判年月日: 平成13年3月27日 / 結論: その他
1 大阪府知事の交際費に係る公文書で交際の相手方及び内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関する情報が記録されているものは,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)8条4号,5号及び9条1号のいずれにも該当しない。 2 大阪府知事が昭和60年1月ないし3月に支出した交際費に係る公文書で交際の相手方が…