一 同一当事者間の債権債務関係がその形式は甲契約及び乙契約といった二個以上の契約から成る場合であっても、それらの目的とするところが相互に密接に関連付けられていて、社会通念上、甲契約又は乙契約のいずれかが履行されるだけでは契約を締結した目的が全体としては達成されないと認められる場合には、甲契約上の債務の不履行を理由に、その債権者は、法定解除権の行使として甲契約と併せて乙契約をも解除することができる。 二 同一当事者間でいわゆるリゾートマンションの区分所有権の売買契約と同時にスポーツクラブ会員権契約が締結された場合において、区分所有権の得喪と会員たる地位の得喪とが密接に関連付けられているなど判示の事実関係の下においては、屋内プールの完成の遅延という会員権契約の要素たる債務の履行遅滞を理由として、区分所有権の買主は、民法五四一条により右売買契約を解除することができる。
一 同一当事者間で締結された二個以上の契約のうち一の契約の債務不履行を理由に他の契約を解除することのできる場合 二 いわゆるリゾートマンションの売買契約と同時にスポーツクラブ会員権契約が締結された場合にその要素たる債務である屋内プールの完成の遅延を理由として買主が右売買契約を民法五四一条により解除することができるとされた事例
民法第3編第2章契約,民法541条
判旨
複数の契約が同一当事者間で締結され、その目的が相互に密接に関連付けられている場合、一方の契約上の債務不履行により契約全体の目的が達成できないときは、両契約を併せて解除できる。
問題の所在(論点)
契約の解除(民法541条)において、形式的に別個の契約として締結された複数の契約のうち、一方の契約に債務不履行がある場合に、他方の契約も併せて解除できるか。
規範
同一当事者間の債権債務関係が二個以上の契約から成る場合であっても、それらの目的が相互に密接に関連付けられていて、社会通念上、いずれかの契約が履行されるだけでは契約を締結した目的が全体としては達成されないと認められる場合には、一方の契約上の債務不履行を理由に、法定解除権の行使として両方の契約を解除することができる。この際、契約書等にその目的が明示されているかは問わない。
事件番号: 昭和52(オ)1306 / 裁判年月日: 昭和53年9月21日 / 結論: 棄却
請負人の注文者に対する報酬債権と注文者の請負人に対する目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権とは、右両債権額が異なる場合であつても相殺することが許される。
重要事実
上告人らは、被上告人からリゾートマンションの区分所有権を購入(本件売買契約)すると同時に、スポーツ施設の会員権を購入(本件会員権契約)した。契約書には「会員権付」との記載があり、区分所有権と会員権は分離処分できない仕組みであった。被上告人は、施設の目玉として屋内温水プールの完成を広告していたが、完成予定を大幅に過ぎても着工すらしていなかった。そのため、上告人らは屋内プールの不完成(債務不履行)を理由に、両契約の解除を主張した。
あてはめ
本件では、マンション購入と会員権取得が密接に関連し、両者の得喪が連動しており、被上告人も分離を許容していない。また、屋内プールは四季を通じて利用可能な主要施設であり、その完成は会員権契約の要素たる債務といえる。リゾートマンションという物件の性質上、施設の利用は購入の主要な目的であり、プールの不完成という債務不履行により、売買契約を締結した目的を全体として達成できなくなったといえる。したがって、売買契約にその目的が明示されていなくとも、会員権契約の不履行を理由に売買契約を解除できる。
結論
本件売買契約及び会員権契約の解除は認められる。したがって、代金返還等の請求は正当である。
実務上の射程
複数の契約が経済的に一体不可分な関係にある場合の解除を認めた重要判例である。答案では、契約の「目的の密接関連性」と「全体としての目的不達」を具体的事実(規約上の分離禁止、広告内容、動機など)から認定する際の枠組みとして用いる。
事件番号: 平成12(行ヒ)96 / 裁判年月日: 平成16年7月13日 / 結論: その他
1 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結には,民法108条が類推適用される。 2 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理し又は代表して契約を締結した場合において,議会が長による上記行為を追認したときは,民法116条の類推適用により,当該普通地方公共団体に法…