一 渉外的な法律関係において、ある法律問題(本問題)を解決するために不可欠の前提問題が国際私法上本問題とは別個の法律関係を構成している場合、その前提問題の準拠法は、法廷地である我が国の国際私法により定めるべきである。 二 渉外親子関係の成立の判断は、まず嫡出親子関係の成立についてその準拠法を適用し、嫡出親子関係が否定された場合には、嫡出以外の親子関係の成立についてその準拠法を適用して行うべきである。 三 平成元年法律第二七号による改正前の法例の下において、出生以外の事由により嫡出性を取得する場合の嫡出親子関係の成立の準拠法は、嫡出性を取得する原因となるべき事実が完成した当時の母の夫の本国法である。 四 平成元年法律第二七号による改正前の法例の下において、血縁関係がない者の間における嫡出以外の親子関係の成立は、右親子関係を成立させる原因となるべき事実が完成した当時の親の本国法及び子の本国法の双方が右親子関係の成立を肯定する場合に認められる。
一 渉外的な法律関係においてある法律問題を解決するために不可欠の前提問題の準拠法を決定する方法 二 渉外親子関係の成立の判断方法 三 平成元年法律第二七号による改正前の法例の下における出生以外の事由により嫡出性を取得する場合の嫡出親子関係の成立の準拠法 四 平成元年法律第二七号による改正前の法例の下における血縁関係がない者の間における嫡出以外の親子関係の成立の準拠法
法例,法例(平成元年法律第27号による改正前のもの)17条,法例(平成元年法律第27号による改正前のもの)18条1項,法例(平成元年法律第27号による改正前のもの)22条
判旨
占有者の占有が自主占有に当たらないことの立証責任は取得時効の成立を争う側が負い、所有の意思の有無は占有取得の権原等により外形的客観的に定められるべきであって、占有者の内心の意思の変化のみによって推定は覆されない。
問題の所在(論点)
民法186条1項の所有の意思の推定に関し、占有開始後に自己が所有者でないことを知るという「内心の意思の変化」のみによって、当該推定が覆されるか。
規範
民法186条1項により、占有者は所有の意思をもって占有するものと推定される。したがって、取得時効の成立を争う者は、当該占有が所有の意思のない占有(他主占有)に当たることについて立証責任を負う。また、所有の意思は占有者の内心の意思によってではなく、占有取得の原因である権原または占有に関する事情により、外形的客観的に定められるべきものである。
事件番号: 平成7(オ)228 / 裁判年月日: 平成8年11月12日 / 結論: 破棄自判
一 他主占有者の相続人が独自の占有に基づく取得時効の成立を主張する場合には、相続人において、その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情を証明すべきである。 二 甲が所有しその名義で登記されている土地建物について、甲の子である乙が甲から管理をゆだねられて占有していたところ、乙の死亡後、そ…
重要事実
韓国籍のDは、先妻Eとの間に被上告人B2・B3・B4を、Fとの間に非嫡出子B1・B5をもうけた。Dは後に日本に帰化し、昭和38年に上告人と婚姻した(この婚姻は後に重婚を理由に判決で取り消された)。Dが昭和45年に死亡した後、上告人はDの唯一の配偶者として法定相続分を有すると信じ、本件土地建物の占有を開始した。しかし、占有開始から数ヶ月後に弁護士を通じて重婚の事実を知り、自らが相続人ではない(または本来の持分がない)ことを知るに至った。原審は、この「内心の知得」を理由に、上告人の占有を他主占有と判断した。
あてはめ
上告人はDの死亡時、Dの相続人として占有を開始しており、当初は自己が唯一の配偶者として法定相続分(3分の1)を有すると信じていた。これは権原の性質上、所有の意思を基礎付ける事情である。これに対し、占有開始後に自己に相続権がないことを知ったという事実は、あくまで占有者の内心の意思の変化にすぎない。所有の意思は外形的客観的に判断されるべきものであるから、このような内心の変化のみをもって、186条1項による所有の意思の推定が覆されることはない。本件では、他に他主占有であることを基礎付ける客観的事情の主張・立証がない以上、相続分に応じた持分の取得時効が成立する。
結論
上告人は本件土地建物の各3分の1の持分を時効取得する。占有者が占有開始後に権利のないことを知ったとしても、それだけで自主占有の推定は破られない。
実務上の射程
取得時効の成立を阻止しようとする側において、占有者の「悪意(所有権がないことの知得)」を主張するだけでは足りず、占有権原の客観的性質や、占有者が他人の所有権を承認した事実などの外形的客観的事情を主張・立証する必要があることを示す。また、共同相続人間における一部持分の時効取得の論理としても重要である。
事件番号: 昭和57(オ)548 / 裁判年月日: 昭和58年3月24日 / 結論: 破棄差戻
民法一八六条一項の所有の意思の推定は、占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実が証明されるか、又は占有者が占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有者であれば当然とるべき行動に出なかつたなど、外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有してい…
事件番号: 昭和40(オ)353 / 裁判年月日: 昭和44年12月18日 / 結論: 破棄差戻
不動産を買い受け所有権に基づいてこれを占有する買主は、売主との関係においても、自己の占有を理由として右不動産につき時効による所有権の取得を主張することができる。
事件番号: 昭和42(オ)1055 / 裁判年月日: 昭和46年11月25日 / 結論: 棄却
不動産の売主が売買契約の効力の発生を争うとともに仮定的にその取得時効を援用した場合に、売買契約の効力につき判断することなく、売主のため取得時効の完成を認めることを妨げない。
事件番号: 昭和41(オ)837 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: 棄却
民法第一六二条第二項にいう占有者の善意・無過失とは、自己に所有権があるものと信じ、かつ、そのように信ずるにつき過失のないことをいい、占有者において、占有の目的不動産に抵当権が設定されていることを知り、または、不注意により知らなかつた場合でも、ここにいう善意・無過失の占有者ということを妨げない。