一 普通地方公共団体が収入の原因となる契約を締結するため一般競争入札を行う場合、最低制限価格のほか最高制限価格をも設定し、その範囲内で入札した者のうち最高価格の申込者を落札者とする方法を採ることは許されない。 二 普通地方公共団体が、合理的な行政巨的達成の必要などのやむを得ない事情があって、一定額を超えない価格で不動産等を売却する必要がある場合、これを一般競争入札に付するならば最高入札価格が右の一定額を超えるおそれがあるときは、その売却は、随意契約の方法により、右の事情につき配慮した上で当該地方公共団体に最も有利な価格を定めて行うことができる。
一 普通地方公共団体が収入の原因となる契約を締結するため一般競争入札を行う場合に最高制限価格を設定することの許否 二 普通地方公共団体が一定額を超えない価格で不動産等を売却する必要がある場合と随意契約
地方自治法234条1項ないし3項,地方自治法242条の2第1項4号,地方自治法施行令167条の2第1項2号,地方自治法施行令167条の10
判旨
普通地方公共団体の収入の原因となる契約について、一般競争入札において最高制限価格を設けることは地方自治法234条3項の趣旨に反し許されないが、合理的な行政目的等により一定価格以下での売却が必要な場合は、随意契約によるべきである。
問題の所在(論点)
普通地方公共団体の収入の原因となる契約(不動産売却等)において、一般競争入札に最高制限価格を設けることは地方自治法234条3項に照らして許されるか。また、公益上の理由から売却価格を制限すべき場合に採るべき手続は何か。
規範
一般競争入札は、不特定多数を参加させ、地方公共団体に最も有利な条件で申込みをした者を相手方とするものである。地方自治法234条3項の性質上、収入の原因となる契約では「最低制限価格」を定めてそれ以上の範囲で最高価格の者を、支出の原因となる契約では「最高制限価格」を定めてそれ以下の範囲で最低価格の者を相手方とすべきである。したがって、収入原因契約において最高制限価格を設けて入札を実施することは許されない。もっとも、合理的行政目的達成のため売却価格を一定範囲に抑える必要があるときは、地方自治法施行規則167条の2第1項2号の「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」として、随意契約によることができる。
事件番号: 平成23(行ヒ)452 / 裁判年月日: 平成25年3月28日 / 結論: 破棄差戻
広域連合がし尿及び浄化槽汚泥の積替え保管施設等の用地として土地を賃借する契約につき,上記用地を確保するため当該土地を賃借する必要性,上記施設の性質に伴う用地確保の緊急性や困難性といった事情について十分に考慮することなく,当該契約において鑑定評価を経ずに定められた賃料額が私的鑑定において適正とされた賃料額と比較して高額で…
重要事実
a村は、公有水面埋立法に基づく埋立地の一部をゴルフ場用途として売却する際、不当な受益の禁止や地価高騰抑制という公益目的から、最低制限価格(約23億円)と最高制限価格(約24億円)を設定した一般競争入札を実施した。その際、最高制限価格を超えた2件を無効とし、制限価格内の最高額申込者を落札者とした。住民らは、最高制限価格の設定が地方自治法に違反するとして訴えを提起した。
あてはめ
本件売却は村の収入となる契約である。一般競争入札の性質は地方公共団体に最も有利な価格(最高価格)を追求する点にあるから、最高制限価格を設けてそれを超える高額な申込みを排除することは、同法234条3項の解釈上認められない。本件で村が主張する「地価高騰の抑制」や「不当な受益の回避」といった事情は、売却価格を一定額以下に抑える必要性を示すものであり、むしろ「性質又は目的が競争入札に適しないもの」として随意契約によるべき事情といえる。したがって、あえて一般競争入札の形式をとりながら最高制限価格を付した本件売却は違法である。
結論
収入の原因となる契約において最高制限価格を設ける一般競争入札は違法である。本件のような事情がある場合は随意契約によるべきであり、原判決を破棄し差し戻す。
実務上の射程
地方自治法が定める契約原則(一般競争入札)と例外(随意契約)の峻別を強調する射程を持つ。公益目的のために価格を抑えたい場合でも、入札の枠組みを歪めることは許されず、適法に随意契約を選択した上で、その事情の下で「最も有利な価格」で売却する義務を負う。答案上は、契約方法の選択の適法性と、落札者決定プロセスの適法性を切り分けて論じる際に有用である。
事件番号: 平成5(行ツ)145 / 裁判年月日: 平成6年11月8日 / 結論: 棄却
地方自治法二四三条の二第一項所定の職員に対し同条三項所定の賠償命令が発せられている場合、右職員の普通地方公共団体に対する賠償責任の有無及び範囲は、右賠償命令の命ずるところに限られる。
事件番号: 平成15(行ヒ)231 / 裁判年月日: 平成17年11月17日 / 結論: 破棄差戻
普通地方公共団体の財産の適正な対価によらない譲渡又は貸付けにつき地方自治法237条2項の議会の議決があったというためには,議会において当該譲渡等が適正な対価によらないものであることを前提として審議がされた上当該譲渡等を行うことを認める趣旨の議決がされたことを要する。