刑訴法三九条三項本文の規定は、憲法三四条前段、三七条三項、三八条一項に違反しない。
刑訴法三九条三項本文と憲法三四条前段、三七条三項、三八条一項
憲法34条前段,憲法37条3項,憲法38条1項,刑訴法39条3項
判旨
刑事訴訟法39条3項本文の接見指定権は、憲法34条前段の保障を実質的に損なわない範囲の合理的な調整を目的とするものであり、同条項に反しない。接見指定が認められる「捜査のため必要があるとき」とは、接見を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限定される。
問題の所在(論点)
刑訴法39条3項本文による接見指定権の規定は、憲法34条前段、37条3項、および38条1項に違反し、被疑者の弁護人依頼権等を侵害するか。
規範
憲法34条前段は、被疑者が弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しているが、これは捜査権に絶対的に優先するものではなく、合理的な調整が可能である。刑法39条3項本文の「捜査のため必要があるとき」とは、接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られる。その際、捜査機関は弁護人等と協議し、できる限り速やかな接見等の日時を指定し、防御の準備を不当に制限しない措置を講じなければならない。
重要事実
上告人は、刑訴法39条3項本文が捜査機関による接見等の制限を一方的に認めていることは、憲法34条前段(弁護人依頼権)、37条3項(被告人の弁護人依頼権)、38条1項(黙秘権)に違反すると主張した。具体的には、被疑者には取調べ受忍義務がなく、取調べを理由とする接見制限は許されない旨を争点とした。
あてはめ
(1)憲法34条:接見指定は申出を全面的に拒むものではなく、日時の変更や短縮に留まるため制約の程度は低い。また、準抗告等の司法審査の道も開かれているため、憲法の保障を実質的に損なうものではない。(2)取調べ受忍義務:身体拘束下の被疑者が出頭・滞留する義務は、供述拒否権を直ちに奪うものではないため、取調べを理由とする指定は肯定される。(3)憲法37条3項:同条は「被告人」に関する規定であり、被疑者には直接適用されない。(4)憲法38条1項:接見交通権が当然に導き出されるものではなく、立法政策の問題である。
結論
刑訴法39条3項本文の規定は、憲法34条前段、37条3項、38条1項のいずれにも違反しない。取調べの必要性に基づく合理的な範囲での接見制限は合憲である。
実務上の射程
接見交通権の憲法的基盤を肯定しつつ、接見指定が認められる「捜査の必要」を「顕著な支障」がある場合に限定した重要判例である。答案上は、現に取り調べ中であることや、間近い時に確実な取調べ予定があることが「顕著な支障」の典型例として用いられる。また、被疑者の取調べ受忍義務を肯定する前提としても引用される。
事件番号: 平成5(オ)1189 / 裁判年月日: 平成12年2月22日 / 結論: 棄却
弁護人の事務所、検察庁及び被疑者が勾留されている警察署の位置関係などから、検察庁において接見指定書を受領して右警察署に持参することが弁護人にとって過重な負担となるものではなく、弁護人が申し出た接見の日時までに相当の時間があるために、弁護人が検察庁まで接見指定書を受け取りに行くことにしても接見の開始が遅れることはなく、検…