配当表に債権者として記載されていない者は、配当異議の訴えの原告適格を有しない。
配当表に債権者として記載されていない者と配当異議の訴えの原告適格
民事執行法85条,民事執行法89条,民事執行法90条,民訴法45条
判旨
配当異議の訴えの原告適格は配当表に記載された債権者に限られ、配当表に記載されなかった者は、自己が配当を受けるべき債権者であると主張して本訴を提起することはできない。
問題の所在(論点)
配当表に記載されていない債権者は、配当異議の訴え(民事執行法90条)を提起する原告適格を有するか。
規範
配当異議の申出及び配当異議の訴えは、作成された配当表中の債権又は配当の額に対する実体上の不服を、当事者間で個別的・相対的に解決する手続である。したがって、本訴を提起できるのは「配当表に記載された債権者」に限られる。配当を受けるべき債権者であるにもかかわらず記載されなかった者は、執行異議(民事執行法11条)により配当表作成手続の是正を求めるべきである。
重要事実
上告人は、不動産競売の開始後、抵当権及び被担保債権の一部を法定代位により取得したが、抵当権移転の附記登記を経由していなかった。そのため、執行裁判所が作成した配当表に債権者として記載されなかった。上告人は配当期日にて被上告人の配当額につき異議を申し出た上で、自己への配当を求める配当異議の訴えを提起した。
あてはめ
本件において、上告人は法定代位によって実体法上の債権を取得しているものの、競売手続における配当表には債権者として記載されていない。配当異議の訴えは、現に配当表に記載された配当案を前提として、その内容を修正する手続である。上告人のように配当表に記載がない者は、その前提を欠くため、本訴の適格を認めることはできない。このような者の救済は、配当表作成手続自体の違法を争う執行異議によるべきである。
結論
上告人は本件配当表について配当異議の訴えを提起する原告適格を有さず、本件訴えは不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
配当異議の訴えにおける原告適格の範囲を「配当表の記載」という形式的基準で限定した判例である。民事執行法上の救済手段(執行異議か配当異議の訴えか)の選択を誤らないための峻別基準として答案上重要である。法定代位者であっても、配当表への不掲載を争う段階では執行異議を用いるべきことが示されている。
事件番号: 平成14(受)1873 / 裁判年月日: 平成15年7月3日 / 結論: 破棄差戻
配当異議の訴えにおいて,競売申立書における被担保債権の記載が錯誤,誤記等に基づくものであること及び真実の被担保債権の額が立証されたときは,真実の権利関係に即した配当表への変更を求めることができる。