不正競争防止法3条1項に基づく不正競争による侵害の差止めを求める訴え及び差止請求権の不存在確認を求める訴えは,いずれも民訴法5条9号所定の訴えに該当する。
不正競争防止法3条1項に基づく不正競争による侵害の差止めを求める訴え及び差止請求権の不存在確認を求める訴えと民訴法5条9号
民訴法5条9号,不正競争防止法3条1項
判旨
民訴法5条9号の「不法行為に関する訴え」には、民法上の損害賠償請求のみならず、不正競争防止法に基づく差止請求やその不存在確認の訴えも含まれる。
問題の所在(論点)
不正競争防止法に基づく差止請求権の不存在確認を求める訴えが、民訴法5条9号にいう「不法行為に関する訴え」に該当するか。
規範
民訴法5条9号の「不法行為に関する訴え」の意義については、当事者の立証の便宜等を考慮した同号の趣旨に照らし、民法所定の不法行為に基づく訴えに限られない。違法行為により権利利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が提起する、侵害の停止又は予防を求める差止請求に関する訴え、及び当該差止請求権の不存在確認を求める訴えもこれに含まれる。
重要事実
抗告人(原告)は、自社製品の販売・輸出行為が不正競争防止法2条1項1号の不正競争に当たらないと主張し、相手方(被告)に対し、同法に基づく差止請求権の不存在確認の訴えを名古屋地裁に提起した。抗告人は、本件製品を名古屋港から輸出していることを理由に、同地を「不法行為があった地」(民訴法5条9号)と主張したが、原審は差止請求が不法行為に関する訴えに当たらないとして、管轄権を否定し移送を決定した。
事件番号: 平成20(許)21 / 裁判年月日: 平成20年7月18日 / 結論: 破棄自判
地方裁判所にその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する訴訟が提起され,被告から同簡易裁判所への移送の申立てがあった場合において,同申立てを却下する旨の判断は,民訴法16条2項の規定の趣旨にかんがみ,広く当該事件の事案の内容に照らして地方裁判所における審理及び裁判が相当であるかどうかという観点からされるべきであり,地方裁判…
あてはめ
不正競争防止法3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害されるおそれがある者等に対し、侵害の停止等の差止請求を認めている。本件訴えは、この差止請求権の不存在確認を求めるものであるが、立証の便宜等の考慮が必要な点において、不法行為に基づく損害賠償請求と同様の性質を有する。したがって、不正競争による侵害の停止等の差止めを求める訴え及びその不存在確認を求める訴えは、いずれも「不法行為に関する訴え」に該当すると評価される。
結論
本件訴えは民訴法5条9号所定の「不法行為に関する訴え」に該当し、不法行為地である名古屋地裁に管轄権が認められる。したがって、管轄欠如を理由に移送した原決定は破棄されるべきである。
実務上の射程
知財事件に限らず、物権的請求権を除く「違法行為に基づく差止請求」一般について、5条9号の義務履行地(2号)以外の独立した裁判籍(不法行為地)を認める際の根拠となる。答案上は、特別裁判籍の有無を論じる際に「不法行為」を広く解釈する論拠として使用する。
事件番号: 平成23(許)4 / 裁判年月日: 平成23年5月18日 / 結論: 破棄自判
民訴法38条後段の要件を満たす共同訴訟であって,いずれの共同訴訟人に係る部分も受訴裁判所が土地管轄権を有しているものについて,同法7条ただし書により同法9条の適用が排除されることはない。
事件番号: 平成14(行フ)10 / 裁判年月日: 平成15年3月14日 / 結論: 棄却
1 行政事件訴訟法12条3項にいう「下級行政機関」は,当該処分又は裁決を行った行政庁の指揮監督下にある行政機関に限られない。 2 総務庁恩給局長が,現地召集解除以後の残留期間も旧軍人普通恩給算定上恩給基礎在職年に算入すべきことを理由とする旧軍人普通恩給の改定請求を却下する旨の処分をした場合において,改定請求書等の提出を…
事件番号: 昭和24(ク)23 / 裁判年月日: 昭和24年5月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法において特に最高裁判所への申立てを許容する規定(当時の民訴法419条の2等)がある場合に限り認められ、それ以外の場合は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は最高裁判所に対して抗告を申し立てたが、当該抗告は当時の民事訴訟法419条の2(民訴応急措置法7条)などの、…
事件番号: 平成12(行フ)2 / 裁判年月日: 平成13年2月27日 / 結論: 棄却
1 行政事件訴訟法12条3項にいう「事案の処理に当たつた下級行政機関」とは,当該処分又は裁決に関し事案の処理そのものに実質的に関与した下級行政機関をいう。 2 国民年金法による障害基礎年金と地方公務員等共済組合法による退職共済年金の併給を受けていた者が,和歌山県知事の補助機関である和歌山東社会保険事務所の担当者に対し,…