1 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律7条の2第1項所定の「売上額」は,事業者の事業活動から生ずる収益から費用を差し引く前の数値をいう。 2 損害保険業の事業者団体の構成事業者である損害保険会社について,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律8条の3において準用する同法7条の2第1項所定の「売上額」は,損害保険会社が損害保険の引受けの対価として保険契約者から収受した保険料の合計額である。
1 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律7条の2第1項所定の「売上額」の意義 2 損害保険業の事業者団体の構成事業者につき私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律8条の3において準用する同法7条の2第1項所定の「売上額」
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律7条の2第1項,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成9年法律第87号による改正前のもの)8条1項1号,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律8条の3
判旨
課徴金算定の基礎となる「売上額」とは、事業者の事業活動から生ずる収益から費用を差し引く前の数値を意味する。損害保険業における役務の対価は、営業保険料から支払保険金を控除した額ではなく、営業保険料の合計額そのものである。
問題の所在(論点)
独占禁止法における課徴金算定の基礎となる「売上額」(役務の対価)の意義。特に損害保険業において、営業保険料の全額を売上額とすべきか、あるいは将来の保険金支払等に充てられる部分を控除すべきか。
規範
独占禁止法上の課徴金制度は、カルテルの予防効果の強化を目的とした行政上の措置であり、その算定には明確性と機動性が求められる。そのため、算定の基礎となる「売上額」とは、一般に公正妥当と認められる企業会計原則上の売上高と同義であり、個別の取引において相手方から受け取る対価の合計から費用項目を差し引く前の数値を意味する。これには、施行令が明文で規定する「値引き、返品、割戻し」以外の費用(保険金支払等)の控除は認められない。
重要事実
日本機械保険連盟の会員である損害保険各社が、機械保険等の引受けに関し保険料率のカルテルを行った。公正取引委員会は、各社が収受した「営業保険料(将来の保険金支払に充てられる純保険料と、経費・利潤となる付加保険料の合算)」を売上額として課徴金納付命令を発した。これに対し損害保険各社は、保険金の支払は役務の一部であり、経済的な不当利得の剥奪という観点から、営業保険料から支払保険金を控除した残額を対価とすべきであると主張して争った。
あてはめ
損害保険契約の本質は、偶然の事故による損害をてん補する「保険の引受け」という役務に対し、報酬(保険料)を支払う点にある。営業保険料は企業会計上も収益に計上され、支払保険金は費用項目に計上されるものであるから、費用差し引き前の営業保険料全額が役務の対価(売上高)に該当する。また、課徴金は実利得と一致する必要はなく、行政上の算定の容易性が重視されるべきである。施行令が認める控除項目に保険金支払は含まれておらず、これを控除する法的根拠はない。したがって、営業保険料全額を基礎とした算定は妥当である。
結論
本件各審決は適法であり、営業保険料の全額を算定基礎とすべきである。損害保険各社の請求は棄却される。
実務上の射程
「売上額」が企業会計上の売上高(グロス)を指し、原価や費用を控除できないことを明確にした。損害保険業に限らず、他業種でも「役務の実態」を理由とした対価の絞り込みを制限する射程を持つ。答案上は、課徴金の趣旨(抑止力・機動性)から、算定式の形式的・画一的適用を正当化する文脈で使用する。
事件番号: 平成22(行ヒ)278 / 裁判年月日: 平成24年2月20日 / 結論: 破棄自判
市町村から委託を受けるなどして都市基盤整備事業を行う法人が特定の地域において指名競争入札の方法により発注する一定規模以上の土木工事について入札参加資格を有する複数のゼネコン(広域総合建設業者)がした,【1】上記法人から指名競争入札の参加者として指名を受けた場合には,当該工事若しくは当該工事の施工場所との関連性が強い者又…
事件番号: 昭和50(行ツ)82 / 裁判年月日: 昭和51年7月13日 / 結論: 棄却
一、営業権とは、当該企業の長年にわたる伝統と社会的信用、立地条件、特殊の製造技術及び特殊の取引関係の存在並びにそれらの独占性等を総合した、他の企業を上回る企業収益を稼得することができる無形の財産的価値を有する事実関係である。 二、省略