地代等自動改定特約において地代等の改定基準を定めるに当たって基礎とされていた事情が失われることにより,同特約によって地代等の額を定めることが借地借家法11条1項の規定の趣旨に照らして不相当なものとなった場合には,同特約の適用を争う当事者は,同特約に拘束されず,同項に基づく地代等増減請求権の行使を妨げられない。
地代等自動改定特約と借地借家法11条1項
借地借家法11条1項,民法91条
判旨
地代等自動改定特約が、経済事情の変動によりその基礎となった事情が失われ、借地借家法11条1項の趣旨に照らして不相当となった場合、当事者は同特約に拘束されず、同項に基づく増減請求権の行使も妨げられない。
問題の所在(論点)
地代等自動増額改定特約がある場合に、経済情勢の変化によって当該特約の拘束力を否定し、借地借家法11条1項に基づく地代減額請求をすることが認められるか。
規範
地代等自動改定特約は、改定基準が借地借家法11条1項の経済事情の変動等を示す指標に基づく相当なものである限り有効である。もっとも、同規定は強行法規としての実質を有するため、特約の基礎となった事情が失われ、特約による改定が同項の趣旨に照らし不相当となった場合には、当事者は特約に拘束されず、同項に基づく増減請求権を行使できる。
重要事実
賃貸人Xと賃借人Yは、35年間の土地賃貸借に際し、地代を3年ごとに10〜15%増額する自動増額特約を締結した。締結当時は地価が急上昇していたバブル期であり、紛争防止を目的としていた。しかし、その後バブル崩壊により地価が急落し、締結時の半額以下となった。Yは特約による増額を拒否し、さらに同法11条1項に基づく減額請求をしたが、Xは特約の有効性と増額を主張して争った。
事件番号: 平成15(受)751 / 裁判年月日: 平成16年6月29日 / 結論: 破棄差戻
建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において,3年ごとに賃料の改定を行うものとし,改定後の賃料は,従前の賃料に消費者物価指数の変動率を乗じ,公租公課の増減額を加算又は控除した額とするが,消費者物価指数が下降してもそれに応じて賃料の減額をすることはない旨の特約が存する場合であっても,上記契約の当事者は,そのことにより借…
あてはめ
本件特約は、地価の継続的な上昇を前提として定められたものであるが、平成9年時点では地価が下落に転じ、当初の半額以下となっている。このような状況下では、増額を前提とする特約の基礎となった事情が失われており、特約による増額を維持することは同法11条1項の趣旨に照らして不相当である。したがって、Yは特約に拘束されず、特約による自動増額の効果は発生しない。また、特約によって減額請求権の行使が妨げられることもないといえる。
結論
本件増額特約による地代増額の効果は生じず、借地借家法11条1項に基づく減額請求権の行使は認められる。
実務上の射程
自動改定特約がある場合でも、経済情勢の激変等により特約の基礎が崩れた場合には、同法11条1項が優先することを明示した。答案上は、特約の有効性を認めつつも、11条1項の強行法規性を根拠に、事情変更による拘束力否定と増減請求権の復活を論じる際に用いる。
事件番号: 昭和41(オ)645 / 裁判年月日: 昭和41年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃借人が借地に対して土盛りを行った事実があっても、その一事をもって直ちに、裁判所が認定した相当地代額が不当であるとして違法とされることはない。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)は、昭和10年頃に本件土地に対して土盛りを行った。その後、地代の額が争点となった事案において、原審(控訴審)は一定の地代…