1 過大に登録免許税を納付して登記等を受けた者は,登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項所定の請求の手続によらなくても,国税通則法56条に基づき,過誤納金の還付を請求することができる。 2 登記等を受けた者が登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項に基づいてした登記機関から税務署長に還付通知をすべき旨の請求に対し,登記機関のする拒否通知は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 (1につき反対意見がある。)
1 過大に登録免許税を納付して登記等を受けた者が登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項所定の請求の手続によらないで過誤納金の還付を請求することの可否 2 登記等を受けた者が登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項に基づいてした請求に対する登記機関の拒否通知と抗告訴訟の対象
登録免許税法31条1項,登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項,国税通則法56条1項,国税通則法(平成11年法律第10号による改正前のもの)15条2項14号,国税通則法(平成11年法律第10号による改正前のもの)15条3項6号,行政事件訴訟法3条1項,行政事件訴訟法3条2項
判旨
登録免許税法31条2項に基づく還付通知の請求に対する拒否通知は、納税者が簡易迅速に還付を受けられる手続上の地位を否定する法的効果を有するため、行政事件訴訟法3条2項の行政処分に当たる。ただし、別途提起した還付請求訴訟の棄却判決が確定している場合には、拒否通知を取り消しても還付を受けられる地位を回復する余地がないため、訴えの利益を欠く。
問題の所在(論点)
登録免許税法31条2項に基づく還付通知請求に対する拒否通知が、抗告訴訟の対象となる「行政処分」(行政事件訴訟法3条2項)に当たるか。また、実体的な還付請求権を否定する判決が確定している場合、当該取消訴訟に訴えの利益が認められるか。
規範
1. 登録免許税法31条2項は、登記等を受けた者が登記機関の職権行使を促し、簡易迅速に過誤納金の還付を受けられるという「手続上の地位」を保障したものである。2. したがって、同項に基づく還付通知の請求に対する拒否通知は、納税者が上記の手続上の地位を否定されるという法的効果を伴うため、抗告訴訟の対象となる「行政処分」に当たる。3. もっとも、実体的な還付請求権の存否が既判力をもって否定されている場合には、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益(訴えの利益)は失われる。
重要事実
被上告人(原告)は、阪神・淡路大震災で被災し建物を新築したが、保存登記の際に免税措置を受けず登録免許税を過大に納付した。被上告人は登録免許税法31条2項に基づき、登記機関(上告人)に対し、税務署長へ還付通知を行うよう請求したが、上告人は過誤納はないとして拒否通知を行った。被上告人は、この拒否通知の取消訴訟を提起するとともに、国を被告として還付請求訴訟を併合提起したが、後者の還付請求訴訟については請求棄却の判決が確定した。
あてはめ
まず、登録免許税は登記時に特別の手続なく税額が確定し、過誤納があれば通則法に基づき直接還付請求が可能である(手続の非排他性)。しかし、同法31条2項は納税者に「簡易迅速な還付手続を利用する地位」を付与しており、拒否通知はこの地位を公権力的に否定するものといえる。よって処分性は肯定される。次に、本件では、被上告人が併合提起した還付請求訴訟において「還付を受ける権利がないこと」が確定判決の既判力により確定している。この場合、仮に本件拒否通知が取り消されたとしても、被上告人が実体的に還付を受けられる可能性は皆無であり、手続的地位を回復する実益がないため、訴えの利益は認められない。
結論
本件拒否通知は行政処分に当たるが、還付請求権を否定する既判力が生じている本件においては、訴えの利益を欠くため、不適法として却下すべきである。
実務上の射程
登録免許税の還付手続において、直接の還付請求(公法上の当事者訴訟)だけでなく、登記機関への通知請求拒否に対する取消訴訟も選択肢となり得ることを示した。ただし、実体的な権利関係が確定している場合の訴えの利益については厳格に判断されるため、実務上は還付請求訴訟との併合提起や既判力の範囲に留意する必要がある。
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