破産終結決定がされて法人格が消滅した会社を主債務者とする保証人は,主債務についての消滅時効が会社の法人格の消滅後に完成したことを主張してこれを援用することはできない。
破産終結決定がされて法人格が消滅した会社を主債務者とする保証人が主債務の消滅時効を援用することの可否
民法145条,民法166条,民法446条,破産法4条,破産法282条
判旨
破産終結決定により主債務者である会社の法人格が消滅した場合、主債務も消滅するため、その後は主債務の消滅時効を観念する余地はない。したがって、保証人は主債務の消滅時効を援用して保証債務の消滅を主張することはできない。
問題の所在(論点)
主債務者である会社が破産終結により法人格を消滅させた後、保証人は主債務の消滅時効を援用して保証債務の消滅を主張できるか(主債務の消滅時効の成否)。
規範
会社が破産終結決定により法人格を喪失した場合、その負担していた債務も消滅する。消滅した債務について消滅時効が進行・完成する余地はなく、保証人は、主債務者の法人格消滅後に時効期間が経過したことを理由として、主債務の消滅時効を援用することはできない。
重要事実
上告人は、主債務者E社の求償債務を被上告人が連帯保証する契約を締結した。その後、E社は破産宣告を受け、平成元年5月に破産終結の公告がなされた。上告人は被上告人に対し、平成10年に求償債権の遅延損害金の支払を求めて提訴したが、被上告人は主債務(求償債務)が時効消滅したとして、保証債務の付随性に基づきこれを援用した。
あてはめ
本件主債務者であるE社は破産終結決定により法人格が消滅している。法人格の消滅に伴い、E社の負担していた求償債務自体が消滅したと解される。消滅した債務に時効を観念することはできないため、破産終結後に時効期間が経過したとしても、主債務の消滅時効が完成することはない。よって、被上告人が主債務の消滅時効を援用する余地はない。
結論
破産終結により法人格が消滅した主債務の消滅時効を、保証人が援用することはできない。原審が時効援用を認めた判断は、法令の解釈を誤ったものであり、破棄を免れない。
実務上の射程
主債務者が法人であり、破産終結により消滅した場合にのみ適用される射程である。答案上は、保証債務の付随性を論じる際、主債務自体が法人格消滅により消えているため時効完成を認めないという論理で活用する。ただし、判決が示唆するように保証債務自体の消滅時効は別途進行し得る点に注意を要する。
事件番号: 平成3(オ)1493 / 裁判年月日: 平成7年3月23日 / 結論: 破棄差戻
一 債権者が主たる債務者の破産手続において債権全額の届出をし、保証人が、債権調査期日終了後に債権全額を弁済した上、破産裁判所に債権の届出をした者の地位を承継した旨の届出名義の変更の申出をしたときは、右弁済により保証人が取得した求償権の消滅時効は、右求償権の全部について右届出名義の変更の時から破産手続の終了に至るまで中断…