内地人女性の嫡出でない子であって国籍法の施行後に朝鮮人男性により認知されたものは,平和条約の発効によっても日本国籍を失わない。
内地人女性の嫡出でない子であって国籍法の施行後に朝鮮人男性により認知されたものの平和条約発効後の国籍
憲法10条,共通法(大正7年法律第39号)3条,旧国籍法(昭和25年法律第147号による廃止前のもの)23条,国籍法(昭和59年法律第45号による改正前のもの)8条,国籍法(昭和59年法律第45号による改正前のもの)9条,国籍法(昭和27年法律第268号による改正前のもの)10条,日本国との平和条約2条(a)項
判旨
昭和25年施行の国籍法下において、朝鮮人父から認知された内地人母の非嫡出子は、認知という一方的意思表示によって地域籍(内地戸籍)を離脱することはないため、平和条約発効後も日本国籍を喪失しない。
問題の所在(論点)
昭和25年7月1日の国籍法施行後、平和条約発効前に朝鮮人父によって認知された内地人母の子が、内地戸籍から除籍され、平和条約発効に伴い日本国籍を喪失するか。認知という身分行為が地域籍の得喪原因となるかが問われた。
規範
昭和25年7月1日施行の国籍法は、自己の意思に基づかない身分行為によって日本国籍を失う法制(旧国籍法23条等)を廃止した。これに伴い、国籍に準ずる役割を果たしていた地域籍(内地・朝鮮等)の得喪に関しても、同法施行日以降は、親の一方的な意思表示である「認知」を原因として地域籍の移動(内地戸籍からの除籍)が生じることはなくなったと解すべきである。
重要事実
被上告人は、昭和20年に朝鮮人父と内地人母との間に非嫡出子として出生し、当初は日本国籍を取得した。昭和25年7月1日に新国籍法が施行された後の同年9月8日、朝鮮人父が被上告人を認知した(本件認知)。当時、朝鮮人父による認知があれば子は朝鮮人父の家(朝鮮戸籍)に入り、共通法の規定により内地戸籍から除籍されるのが従前の実務であったが、平和条約発効後の被上告人の国籍が問題となった。
あてはめ
旧国籍法下では認知による国籍喪失規定(23条)が存在したが、新国籍法はこの制度を廃止した。地域籍の運用も国籍法の趣旨に準じるべきであり、新国籍法施行日(昭和25年7月1日)以降になされた本件認知は、もはや被上告人を内地戸籍から除籍させる理由にはならない。したがって、被上告人は平和条約発効時において、朝鮮戸籍に登載されるべき地位にあった「朝鮮人」には該当しないと評価される。
結論
被上告人は、本件認知によって内地戸籍から除籍されることはなく、平和条約の発効によっても日本国籍を喪失しない。
実務上の射程
国籍喪失に関する画期的判決。特に「自己の意思に基づかない身分行為」による国籍・地域籍の変動を否定した点は重要である。答案上は、平和条約による国籍喪失の原則(大法廷判決)の例外的な場面として、国籍法施行後の身分行為の法的性質を論じる際に用いる。
事件番号: 平成13(行ツ)39 / 裁判年月日: 平成15年6月12日 / 結論: 破棄自判
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