1 我が国に住所等を有しない被告に対し提起された不法行為に基づく損害賠償請求訴訟につき,民訴法の不法行為地の裁判籍の規定に依拠して我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定するためには,原則として,被告が我が国においてした行為により原告の法益について損害が生じたとの客観的事実関係が証明されれば足りる。 2 ある管轄原因により我が国の裁判所の国際裁判管轄が肯定される請求の当事者間における他の請求につき,民訴法の併合請求の裁判籍の規定に依拠して我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定するためには,両請求間に密接な関係が認められることを要する。
1 不法行為に基づく損害賠償請求訴訟につき民訴法の不法行為地の裁判籍の規定に依拠して我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定するために証明すべき事項 2 ある管轄原因により我が国の裁判所の国際裁判管轄が肯定される請求の当事者間における他の請求につき民訴法の併合請求の裁判籍の規定に依拠して我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定するための要件
民法709条,民訴法5条9号,民訴法7条本文,民訴法136条,民訴法247条,民訴法第1編第2章裁判所
判旨
不法行為に基づく国際裁判管轄は、原則として損害発生等の客観的事実の証明で足り、不法行為の成立(違法性阻却事由の不在等)の「一応の証明」までは不要である。また、併合請求については、主たる請求と密接な関係があれば国際裁判管轄が認められる。
問題の所在(論点)
1. 不法行為地の裁判籍を認めるために、不法行為の成立(違法性阻却事由の不存在等)をどこまで立証・認定すべきか。 2. 国際的併合請求の裁判籍を認めるための要件。 3. 外国での紛争に関連する国内著作権の確認の利益および管轄を否定すべき「特段の事情」の有無。
規範
1. 不法行為の裁判籍(旧民訴法15条、現行5条9号)に依拠して国際裁判管轄を肯定するには、原則として、被告が日本でした行為により原告の法益に損害が生じたという客観的事実関係が証明されれば足りる。違法性阻却事由の存否を含む不法行為の成立について「一応の証明」を要すると解すべきではない。 2. 併合請求の裁判籍(旧民訴法21条、現行7条)に基づき国際裁判管轄を肯定するには、管轄権が認められる請求と他の請求との間に「密接な関係」が認められることを要する。
事件番号: 昭和50(オ)327 / 裁判年月日: 昭和51年3月23日 / 結論: 棄却
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定二条二項(a)、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定について合意された議事録二項(c)にいう大韓民国の財団法人が日本国内において「居住した」ときとは、少なくとも事実上の事務所を持ち、その法人の…
重要事実
日本国内の著作権者である上告人が、タイ在住の被上告人に対し、日本国外での独占的利用権を主張して日本の取引先に警告書を送付されたことにより業務を妨害されたとして、不法行為に基づく損害賠償(請求①)や著作権の存否確認(請求②〜⑤)、差止め(請求⑥)を求めて提訴した。原審は、不法行為の成立に「一応の証明」がないとして請求①の管轄を否定し、他の請求も確認の利益の欠如や管轄なしとして却下した。
あてはめ
1. 請求①につき、被上告人が警告書を日本国内の会社に到達させ業務妨害が生じた客観的事実が明らかであり、被告を応訴させる合理的理由があるため、不法行為地の管轄が認められる。不法行為の存否を「一応の証明」で判断するのは基準が不明確であり不当である。 2. 請求②につき、日本における著作権の帰属が争点であり財産所在地(日本)の管轄がある。タイで著作権共有が主張されている事実は、日本国内の権利帰属の成熟性を基礎づける。 3. 請求③〜⑥は、①②と著作権帰属や利用権の有無という実質的な争点を同じくしており、「密接な関係」があるため、併合請求の管轄が認められる。 4. タイで別訴が係属しているが、訴訟物が異なり、日本での応訴を強いることが公平・適正を害する「特段の事情」とはいえない。
結論
本件各請求について日本の裁判所の国際裁判管轄が認められ、確認の利益も認められる。原判決を破棄し、第一審に差し戻す。
実務上の射程
国際裁判管轄の有無を判断する際の立証の程度(客観的事実の証明で足りる)と、民訴法上の各裁判籍規定の国際訴訟への準用、および併合請求における「密接な関係」要件を示した重要判例である。現行法3条の3第8号(不法行為)、3条の6(併合請求)の解釈指針として機能する。
事件番号: 平成21(受)602 / 裁判年月日: 平成23年12月8日 / 結論: その他
1 我が国について既に効力を生じている文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約に我が国が国家として承認していない国が事後に加入した場合において,我が国が同国との間で同条約に基づく権利義務は発生しないという立場を採っているときは,同国の国民の著作物である映画は,同国が上記条約に加入したことによって,著作権法6条3号…
事件番号: 平成22(受)1884 / 裁判年月日: 平成24年1月17日 / 結論: 破棄差戻
旧著作権法(昭和45年法律第48号による改正前のもの)の下において映画製作会社の名義で興行された独創性を有する映画の著作物につき,監督を担当した者が著作者の一人であり,著作者の死亡の時点を基準に著作権の存続期間を定める同法3条が適用される結果著作権が存続している場合において,次の(1),(2)など判示の事情の下では,著…
事件番号: 平成12(受)222 / 裁判年月日: 平成13年3月2日 / 結論: その他
カラオケ装置のリース業者は,カラオケ装置のリース契約を締結した場合において,当該装置が専ら音楽著作物を上映し又は演奏して公衆に直接見せ又は聞かせるために使用されるものであるときは,リース契約の相手方に対し,当該音楽著作物の著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結すべきことを告知するだけでなく,上記相手方が当該著作権者と…