一 離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意は、民法七六八条三項の規定の趣旨に反してその額が不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきである。 二 離婚に伴う慰謝料として配偶者の一方が負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額を支払う旨の合意は、右損害賠償債務の額を超えた部分について、詐害行為取消権行使の対象となる。
一 離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意が詐害行為に該当する場合の取消しの範囲 二 離婚に伴う慰謝料を支払う旨の合意と詐害行為取消権
民法424条,民法710条,民法763条,768条
判旨
離婚に伴う財産分与や慰謝料支払の合意が、不相当に過大な場合には、その過大な部分に限り詐害行為として取り消すことができる。
問題の所在(論点)
離婚に伴う財産分与および慰謝料の合意が、民法424条の詐害行為取消権の対象となるか。また、対象となる場合の取消しの範囲はどうあるべきか。
規範
離婚に伴う財産分与は、民法768条3項の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託された財産処分と認めるに足りる「特段の事情」がない限り、詐害行為とならない。しかし、当該特段の事情があるときは、不相当に過大な限度で詐害行為として取り消される。また、慰謝料合意についても、負担すべき損害賠償債務の額を超えた部分は、対価を欠いた新たな債務負担行為として詐害行為取消権の対象となる。
重要事実
債務者Dは、多額の負債を抱え無資力であったが、平成6年に上告人(元妻)と離婚した際、慰謝料2000万円および将来の生活費補助(月10万円)を支払う合意をし、公正証書を作成した。Dの債権者である被上告人は、この合意が詐害行為に当たるとして、合意の取消しと配当表の変更を求めて提訴した。
あてはめ
Dは無資力でありながら、婚姻期間や離婚の経緯、資力に照らして過大な額を約している。財産分与(生活費補助)については、その額が不相当に過大であれば「特段の事情」が認められるが、取り消せるのはその「不相当に過大な部分」に限定される。慰謝料についても、本来負担すべき賠償債務の額を超える部分は贈与と同視できるため取消対象となるが、合意全部ではなく「超過部分」のみを取り消すべきである。原審が合意の全部を取り消し得るとした点には法令の誤りがある。
結論
財産分与のうち不相当に過大な額、および慰謝料のうち本来の債務額を超える額を算出した上で、その限度において本件合意を取り消すべきである。
実務上の射程
離婚に伴う給付が詐害行為となるか否かの判断において、財産分与(768条3項)と慰謝料(709条・710条)の各性質を区別しつつ、いずれも「過大な部分」に限定して取り消しを認める実務上の枠組みを示したものである。答案上は、全額の取消しを認めず「相当な範囲」を見極める必要がある点に注意する。
事件番号: 平成15(受)278 / 裁判年月日: 平成17年11月24日 / 結論: 破棄自判
同順位の根抵当権者の1人が提出した不動産競売事件の申立書の被担保債権及び請求債権の部分における「金8億円 但し,債権者が債務者に対して有する下記債権のうち,下記記載の順序にしたがい上記金額に満つるまで。」との記載は,これに続けて8億円を超える7件の手形貸付に係る債権が記載されていること,同申立書の添付資料である不動産登…