共同相続人間において特定の財産が被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えは、適法である。
遺産確認の訴えの適法性
民訴法225条,民法898条
判旨
ある財産が被相続人の遺産に属することの確定を求める「遺産確認の訴え」は、将来の遺産分割審判等において当該財産の遺産帰属性を既判力をもって確定させ、紛争の抜本的解決に資するため、確認の利益が認められ適法である。
問題の所在(論点)
特定の財産が遺産に属するか否かにつき争いがある場合、その帰属を確認する「遺産確認の訴え」に確認の利益が認められるか。自己の持分権を確認する「共有持分権確認の訴え」ではなく、遺産帰属性そのものの確認を求める訴えの適法性が問題となる。
規範
ある財産が被相続人の遺産に属すること、すなわち「当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあること」の確認を求める訴えは適法である。この判決の既判力は、当該財産が遺産分割の対象たる財産であること自体に及び、その後の遺産分割審判手続や審判確定後において、当該財産の遺産帰属性を争うことを許さない効力を有する。
重要事実
被相続人Dの共同相続人である被上告人らが、上告人らに対し、特定の不動産(物件目録記載のもの)がDの遺産であることの確認を求めて提訴した。上告人らは、当該財産が遺産であることを否定し争った。なお、共同相続人の範囲や法定相続分の割合については、当事者間に実質的な争いはなかった。
あてはめ
共有持分権確認の訴えでは、特定の持分権は確定するが「取得原因が相続であること」までは確定せず、遺産分割審判における遺産帰属性の判断にも既判力がないため、後日再び覆るおそれがあり紛争解決として不十分である。これに対し、遺産確認の訴えは、端的に当該財産が遺産分割の対象であることを既判力をもって確定させる。遺産分割と共有物分割は制度上異なる手続であり、遺産分割の前提問題として帰属性を確定させる必要性が認められる。したがって、原告の意図に沿った抜本的解決に資する本件訴えには確認の利益があるといえる。
結論
特定の財産が被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えは、確認の利益を具備し適法である。
実務上の射程
民事訴訟における確認の利益の有無を論じる際に用いる。特に、持分権確認という「現在の権利関係」の確認ではなく、遺産性という「過去の事実(または現在の法的性質)」の確認であっても、紛争解決に直結し必要性・実効性が高い場合には確認の利益が認められるという文脈で活用すべき射程の広い判例である。
事件番号: 平成5(オ)641 / 裁判年月日: 平成6年1月25日 / 結論: 破棄自判
固有必要的共同訴訟における共同被告の一部に対する訴えの取下げは、効力を生じない。
事件番号: 昭和60(オ)727 / 裁判年月日: 平成元年3月28日 / 結論: 棄却
共同相続人間における遺産確認の訴えは、固有必要的共同訴訟と解すべきである。
事件番号: 平成23(受)603 / 裁判年月日: 平成26年2月14日 / 結論: 破棄差戻
共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は,遺産確認の訴えの当事者適格を有しない。