自筆遺言証書の日付として「昭和四拾壱年七月吉日」と記載された証書は、民法九六八条一項にいう日付の記載を欠くものとして無効である。
自筆遺言証書の日付として「昭和四拾壱年七月吉日」と記載された証書の効力
民法968条1項
判旨
自筆証書遺言に記載されるべき日付は、暦上の特定の日を表示するものである必要があり、「吉日」という記載は特定の日を表示するものとはいえず、当該遺言は無効である。
問題の所在(論点)
自筆証書遺言に「吉日」と記載されている場合、民法968条1項の「日付」を自書したといえるか、その有効性が問題となる。
規範
自筆証書遺言の成立要件である日付の自書(民法968条1項)は、遺言能力の有無を判定し、複数の遺言の前後関係を確定するために、暦上の特定の日を表示するものといえる形式でなされる必要がある。
重要事実
遺言者が自筆証書遺言を作成した際、その日付として「昭和四拾壱年七月吉日」と記載し、押印した。当該記載に基づき、遺言の有効性が争われた。
あてはめ
証書に「昭和四拾壱年七月吉日」と記載されている場合、昭和41年7月のいずれかの日に作成されたことは判明するものの、暦上の特定の日を表示するものとはいえない。したがって、適式な日付の記載があるとは認められない。
結論
本件自筆証書遺言は、証書上の日付の記載を欠くものとして無効である。
実務上の射程
自筆証書遺言の方式厳格性を象徴する判例である。遺言能力や遺言の前後関係を確定させるという制度趣旨から、日付は「特定」可能でなければならず、抽象的な記載は一律に無効とされる。答案上は、方式欠如による無効を導く際の標準的な規範として活用する。
事件番号: 昭和46(オ)678 / 裁判年月日: 昭和47年3月17日 / 結論: 棄却
一、いわゆる危急時遺言の遺言書に遺言をした日附ないしその証書の作成日附を記載することは遺言の有効要件ではなく、遺言書に作成の日として記載された日附が正確性を欠いていても、遺言は無効ではない。 二、いわゆる危急時遺言において、筆記者である証人が筆記内容を清書した書面に遺言者の現在しない場所で署名捺印をし、他の証人二名の署…
事件番号: 平成31(受)427 / 裁判年月日: 令和3年1月18日 / 結論: 破棄差戻
遺言者が,入院中の日に自筆証書による遺言の全文,同日の日付及び氏名を自書し,退院して9日後(全文等の自書日から27日後)に押印したなど判示の事実関係の下においては,同自筆証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって直ちに同自筆証書による遺言が無効となるものではない。
事件番号: 昭和51(オ)978 / 裁判年月日: 昭和52年4月19日 / 結論: 棄却
遺言者が、遺言書のうち日附以外の全文を記載して署名押印し、その八日後に当日の日附を記載して右遺言書を完成させたときは、特段の事情のない限り、右日附を記載した日に作成された自筆証書遺言として、有効である。