会社更生法等の一部を改正する法律(昭和四二年法律第八八号)施行前に管財人を被告とすべきであるのに誤つて更生会社を被告として提起された訴であつても、右法律施行ののち更生会社の取締役に会社更生法二一一条三項または同法二四八条の二第一項所定の授権がなされた場合には、その訴は、正当な当事者を相手方とした適法な訴となるものと解すべきである。
管財人を被告とすべきであるのに更生会社を被告として訴が提起されたのちに更生会社の取締役に会社更生法二一一条三項または同法二四八条の二第一項所定の授権がなされた場合と訴の適否
会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)96条,会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)96条2項,会社更生法等の一部を改正する法律(昭和42年法律第88号)附則2項,会社更生法等の一部を改正する法律(昭和42年法律第88号)附則3項,民訴法45条
判旨
会社更生手続開始後、管理処分権を失った更生会社を被告として提起された訴えは原則として不適法であるが、後に取締役に経営権等が授権された場合には、旧会社更生法96条2項を類推適用し、正当な当事者を相手方とした適法な訴えになると解するのが相当である。
問題の所在(論点)
会社更生手続開始により管理処分権が管財人に移転している場合において、管財人ではなく更生会社を被告として提起された訴えの適法性、及び当該不備が後に治癒されるための要件が問題となる。
規範
会社更生手続開始決定により、会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利が管財人に専属する場合(旧会社更生法53条等)、更生会社を被告として提起された訴えは、正当な当事者を相手方としない不適法なものとなる。ただし、その後に取締役に当該管理処分権等が授権された場合には、同法96条2項を類推適用し、当初から正当な当事者を相手方とした適法な訴えとして治癒されると解すべきである。
重要事実
事件番号: 昭和39(オ)609 / 裁判年月日: 昭和40年6月4日 / 結論: 棄却
民法第九五条但書により表意者みずから無効を主張しえない場合は、相手方および第三者も無効を主張しえないものと解するのが相当である。
上告人は、被上告会社Bに対し、本件建物からの退去等を求めて訴えを提起したが、その提起前(昭和40年8月16日)にB社は会社更生手続開始決定を受け、管財人が選任されていた。第一審及び原審は、B社を当事者として上告人の請求を棄却したが、手続係属中にB社は更生手続廃止決定を受け、その後に破産宣告を受けていた。なお、B社の取締役に管理処分権等が授権された事実は認められない。
あてはめ
本件訴訟の提起時、B社は既に更生手続開始決定を受けており、当時の会社更生法96条に基づき、上告人は管財人を被告として提訴すべきであった。本件訴えは、改正法(昭和42年法律88号)施行前に提起されたものであるため、原則として同法96条2項(取締役への授権がある場合に更生会社を被告とし得る規定)の直接適用の対象ではない。もっとも、訴え提起後に取締役に管理処分権が授権された場合には、同条項を類推適用して適法化の余地がある。しかし、本件記録上、B社の取締役にそのような授権がなされた事実は認められない。したがって、本件訴えは当事者の選択を誤った不適法なものといえる。
結論
上告人の被上告会社Bに対する訴えは、正当な被告を欠く不適法なものとして却下されるべきである(原判決破棄、第一審判決取消し)。
実務上の射程
当事者適格(管理処分権)を欠く者に対してなされた訴えの適法性を判断する際の指針となる。実務上は、更生手続や破産手続開始後の当事者確定に注意を要するが、本判例は訴えの適法性が後に授権等の事情により「治癒」される可能性を類推適用の形で認めており、訴訟経済の観点から留意すべき判断枠組みである。
事件番号: 昭和43(オ)1147 / 裁判年月日: 昭和44年6月17日 / 結論: 棄却
甲所有の従前地につき換地処分がされたときは、換地は右換地処分の公告の日の翌日から従前地とみなされ、甲は換地につき所有権を取得し、右換地につき乙が所有権を有していたとしても、これに対しなんらの換地処分等がされないときにおいては、右公告の日の翌日以後は、右換地につき乙の所有権を認めることはできない。
事件番号: 昭和59(オ)1367 / 裁判年月日: 昭和61年11月18日 / 結論: その他
甲が他から買い受けた建物につき乙名義で所有権移転登記を経由した後これを丙に賃貸してその引渡しを了した場合において、右建物が真実乙の所有であると信じていた丁が、これを乙から買い受けようとした戊に融資をして乙より右建物につき抵当権の設定を受け、その実行により自ら競落人となつて右建物の所有権を取得したときは、丁において右建物…
事件番号: 昭和42(オ)498 / 裁判年月日: 昭和42年9月7日 / 結論: 棄却
土地の借主が、約三年の間に礼金または賃料として三回にわたつて一万円ないし一万五〇〇〇円を支払い、貸主が特段の異議を留めることなく受領していた場合であつても、右金額が適正賃料額に比してかなり低額であり、かつ、その金額は借主において一方的に定めたものであつて、貸主との協議に基づくものでないうえに、必ずしも定期的に支払われた…