土地区画整理事業による換地処分の確定後換地につき売買による所有権の移転があつても、右換地に関する清算交付金請求権は、整理事業施行者に対する関係において、当然にはこれに伴つて移転しない。
土地区画整理事業による換地を目的とする売買と換地清算交付金請求権の移転
土地区画整理法94条,土地区画整理法104条1項,土地区画整理法104条7項,土地区画整理法129条
判旨
土地区画整理事業による換地処分後に換地が売却された場合、清算交付金請求権は特段の合意がない限り買主に移転せず、換地処分時の所有者に帰属する。また、清算交付金の支払債務は持参債務であり、施行者が債権者住所地へ持参しない限り履行遅滞の責を免れない。
問題の所在(論点)
1. 換地処分後に換地が譲渡された場合、清算交付金請求権は土地所有権の移転に伴い買主に移転するか。 2. 清算交付金の支払債務は、持参債務と取立債務のいずれであるか。
規範
1. 清算金に関する権利義務は、換地処分の公告により換地所有権が確定するとともに、施行者と「その時点の換地所有者」との間で確定的に発生し、事後の土地所有権移転に伴い当然に移転する性質のものではない。特段の合意がない限り、売買により買主へ移転しない。 2. 清算交付金の支払場所については特別の規定がないため、民法484条が適用され、債権者の住所地で支払うべき持参債務となる。
重要事実
被上告人(売主)は、土地区画整理事業の換地処分により昭和39年に換地の所有権を取得した。その後、昭和41年に当該換地を訴外会社(買主)へ売り渡し、登記を完了した。本件では、換地処分によって発生した清算交付金の帰属、および施行者である上告人の支払遅滞に伴う損害賠償義務が争点となった。上告人は、遅延損害金を付さずに清算交付金のみを供託していた。
あてはめ
1. 換地処分時(所有権確定時)の所有者は被上告人であり、特段の合意がない以上、清算金請求権は確定的に被上告人に帰属している。売買代金は通常土地自体の価値で決まるため、交付金が買主に移転すると解すると売主に著しい不公平を生じさせる。したがって土地区画整理法129条の適用はなく、請求権は移転しない。 2. 清算交付金の支払場所に関する特別の法令はないため、民法484条の原則に従い持参債務となる。上告人が被上告人の住所地へ持参して支払わない限り履行遅滞となるため、遅延損害金を付さない供託では債務消滅の効果は生じない。
結論
清算交付金請求権は被上告人に帰属し、上告人は持参債務の不履行による履行遅滞の責を免れない。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
換地処分後の権利変動と清算金の帰属を切り離して考えるべき実務指針を示すものである。答案上は、物権変動に伴う付随的権利の承継の成否や、金銭債務の支払場所に関する民法484条の原則的適用を確認する場面で活用できる。
事件番号: 昭和41(オ)701 / 裁判年月日: 昭和42年4月27日 / 結論: 棄却
土地区画整理中の土地の売買契約において、当事者が換地予定値を売買の目的とし、その坪数に従つて代金を定め、換地清算交付金についてはなんらの特約をしなかつた等原審の確定した事実関係のもとにおいては、従前地につき既に買主のため所有権移転登記を了していても、右換地の清算交付金は売主に帰属すると解するのが相当である。
事件番号: 昭和28(オ)80 / 裁判年月日: 昭和30年10月28日 / 結論: 棄却
都市計画法および特別都市計画法による区画整理の施行に際し、土地所有者または関係者は、特定の土地を換地または換地予定地として、指定すべきことを要求する権利を有しない。