土地区画整理中の土地の売買契約において、当事者が換地予定地を売買の目的として代金を定め、換地清算交付金についてはなんらの特約もしなかつた場合、その後予定どおり換地がなされたときは、清算交付金は売主に帰属するものと解すべきである。
土地区画整理中の土地の売買と換地清算交付金の帰属。
都市計画法(昭和29年法律120号による改正前)12条,耕地整理法(明治42年法律30号)4条,耕地整理法(明治42年法律30号)5条,土地区画整理法12条,土地区画整理法129条
判旨
土地区画整理事業において換地予定地を売買の目的物とした場合、清算交付金に関する特約がない限り、買主は換地後の土地所有権を取得するにとどまり、清算交付金は売主に帰属する。
問題の所在(論点)
土地区画整理事業の換地予定地を目的として売買契約が締結された場合において、清算交付金の帰属に関する特約がないとき、当該交付金は売主と買主のいずれに帰属するか。
規範
換地予定地を対象とする売買契約において、当事者が現場の状況や時価に基づき代金額を決定し、清算金について特段の合意をしていない場合には、特段の事情のない限り、買主は換地後の土地そのものを取得することを意図したものと解される。したがって、換地処分に伴う清算交付金は、売買の対価の均衡を維持する観点から、従前の土地の所有権を有していた売主に帰属すべきである。
重要事実
売主(被上告人)と買主(上告人)は、昭和27年に土地の売買契約を締結した。当時、既に換地予定地が指定されており、従前の土地は道路となっていたため、両当事者は現場に臨んだ上で、換地予定地を売買の目的物とした。代金は換地予定地の面積(約80坪)と時価(坪単価約4,000円)を基準に32万円と定めたが、換地清算交付金の帰属については何ら特約を設けなかった。その後、予定通り換地処分がなされ、清算交付金が発生したため、その帰属が争点となった。
あてはめ
本件では、売買契約時に既に換地予定地が指定されており、従前の土地は物理的に道路化していた。当事者はこの現状を前提に、換地後の土地そのものの価値(坪単価および面積)を基準として代金額を算定している。このような状況下で清算金に関する合意がなされていない以上、買主の意図は「換地後の土地所有権」を代金相当の対価として取得することに限定されていたといえる。よって、土地の価値調整としての性質を持つ清算交付金までを買主に取得させる合理的な理由はなく、売主に帰属させるのが相当である。
結論
本件売買の買主は換地後の土地所有権を取得するにとどまり、清算交付金は売主に帰属する。
実務上の射程
換地予定地売買における清算金の帰属を判断する基準を示した。実務上、特約がない場合には「代金額の算定根拠(従前の土地の価値か、換地後の土地の価値か)」が判断の鍵となる。答案上は、契約解釈の問題として、契約時の目的物の客観的状況や代金決定の経緯から当事者の合理的意思を推認する際の準拠枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和45(オ)1124 / 裁判年月日: 昭和48年12月21日 / 結論: 棄却
土地区画整理事業による換地処分の確定後換地につき売買による所有権の移転があつても、右換地に関する清算交付金請求権は、整理事業施行者に対する関係において、当然にはこれに伴つて移転しない。